The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Subdiscipline)

専門領域別 » バイオメカニクス

バイオメカニクス/口頭発表①

Fri. Sep 1, 2023 2:40 PM - 3:54 PM RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

Chair: Sekiya Koike

3:10 PM - 3:24 PM

[05バ-口-03] サッカーのヘディングにおける動作分析と衝撃センサーを用いた頭部加速度計測

*Kaoru Kimachi1, Masaaki Koido1, Masao Nakayama1, Takeshi Asai2 (1. University of Tsukuba, 2. International Pacific University)

サッカーにおけるヘディング動作は頻度は比較的低いが、頭部衝撃の長期的な蓄積による脳の損傷リスクが懸念されている。本研究では、マウスピースと光学式モーションキャプチャーシステムを使用してジャンプヘディング動作を記録することにより、頭部線形加速度について比較検討し、ヘディングによる頭部衝撃のリスクを評価する上での一助となる知見を得ることを目的とした。実験には、全身動作の記録のためのVICONと衝撃センサー付きマウスピース(Prevent Biometrics社製)を用いて、前方15mから射出されたボールに対しジャンプヘディングをする試技を行わせた。実験協力者は大学生サッカー部員とし、記録に成功した8名分、計57試技のジャンプヘディング動作を分析対象とした。動作分析においては、前頭部2点のマーカーの中点を対象に三軸成分を合成した進行方向加速度を算出し、マウスピースについては衝撃を感知した区間に出力される線形加速度の時系列データを取得し、それぞれ加速度のピーク値を記録した。結果として頭部加速度は、動作分析において-161.3 ± 74.0 m/s2、マウスピースにおいて158.8 ± 55.0 m/s2であった。算出方法の違いから符号は逆転しており、相関係数は-0.322であった。この差異から真の値を推定することは難しいが、出力された値の推移や動作から差の要因を検討することが頭部加速度計測を評価する上で重要であるといえる。またヘディング直前の球速は11.1 ± 0.3 m/sであり一定の速度であったといえるが、ヘディング後の球速は11.4 ± 1.4 m/sであり、動作分析の頭部加速度との相関は-0.371、マウスピースの頭部加速度との相関は0.375であった。今回の実験試技の動作はシュート性のヘディングではなかったが、ヘディング後の球速と頭部が受ける加速度の関係も検討する必要があると考えられる。