[03心-ポ-19] 感覚処理感受性と競技パフォーマンスの自己評価との関連
中高生スポーツ選手を対象とした横断的検討
【背景と目的】
近年の心理学領域において、種々の刺激に対する情報処理の深さや、環境要因からの被影響性を表す特性である、感覚処理感受性が注目を集めている(以下、感受性と略記;Aron et al., 2012)。スポーツ心理学の文脈では、感受性の高い個人は、競技の継続年数が短いことや(矢野ほか,2017)、バーンアウト傾向の高いことが示されているものの(上野・平野,2016)、競技パフォーマンスとの関連についての実証的研究は見受けられない。
そこで本研究では、競技パフォーマンスに対する感受性の関連を検討することで、感受性が高いスポーツ選手の特徴に関する基礎的知見を蓄積することを目的とした。
【方法】
日本の中学校または高校の運動部活動に所属するスポーツ選手187名を対象に、インターネット調査を実施し、(男性116名、女性71名;平均15.0±1.7歳)所属部活動、感受性の程度(岐部・平野,2019)、競技パフォーマンスの自己評価(上野・小塩,2016)について回答を依頼した。調査の実施にあたり、発表者の所属機関の倫理審査委員会より承認を得た。
本研究の目的に沿い、競技パフォーマンスの自己評価を目的変数とした階層的重回帰分析を実施した。説明変数は、Step 1で、学年およびダミー変数化した性別と競技種目を(上野ほか,2018)、Step 2で感受性を投入した。分析には、統計解析ソフトHAD18.00(清水,2016)を使用し、有意水準は5%に設定した。
【結果と考察】
分析の結果、Step2において、感受性は競技パフォーマンスに対して、正の有意な関連を持つ傾向のあることが示された。したがって、学年や性別、競技種目に係わらず、感受性の高いスポーツ選手は、自身のパフォーマンスを高く評価する傾向にあることが示唆された。今後は、両者の関連について、詳細なメカニズムを明らかにしていくことが求められる。