[03心-ポ-21] 情動知能に着目したスポーツ外傷・障害発生と心理的要因の検討
【目的】大学生アスリートを対象としたスポーツ外傷・障害発生と情動知能の関係の検討。 【対象と方法】大学生アスリート402名(男性283名、女性119名:平均年齢19.5±1.2歳)に対してアンケート調査および情動知能尺度(以下:EQS 内田、2001)を実施した。アンケート調査ではスポーツ歴およびスポーツ外傷・障害の有無とその診断名について確認し、スポーツ歴から接触競技と非接触競技、診断名からスポーツ外傷とスポーツ障害をそれぞれ分類した。EQSは対応因子と領域の12項目(全33項目)を採用し、以下の検討を実施した。①全対象者、接触競技、非接触競技についてスポーツ外傷・障害あり群となし群の差の検定(t検定)。②スポーツ外傷・障害に影響を及ぼす因子を抽出するために、従属変数をスポーツ外傷・障害の有無、独立変数を2群間で有意差の認められた因子とした多重ロジスティック回帰分析。③受傷機転による差異を検討するため、スポーツ外傷群、スポーツ障害群、なし群の3群間での多変量解析。統計処理は統計ソフトHAD(清水、2016)を使用した。なお、本研究は本学倫理審査委員会の承認(2022_01)を得て実施した。 【結論】スポーツ外傷・障害あり群228名、なし群174名であった(有病率56.7%)。2群間のEQS各因子の比較では、「自己洞察」「共感性」「愛他心」「状況洞察」「状況コントロール」でスポーツ外傷・障害あり群で低値となった(p<0.05)。また、多重ロジスティック回帰分析の結果、「愛他心」「状況洞察」がスポーツ外傷・障害発生に影響を及ぼす因子として抽出された。受傷機転による多変量解析では、3群間で「自己洞察」「愛他心」「状況洞察」について差が認められた。以上からスポーツ外傷・障害発生の発生には複数の情動知能の因子が関与している可能性が示唆された。