[03心-ポ-63] 不安がパフォーマンスに与える影響
野球競技の制球力に着目して
【目的】本研究では、不安が野球競技の投球パフォーマンス(制球⼒)に与える影響について検討することを目的とした。【方法】被験者は現役で硬式野球競技を行っている男子学生16名 (平均年齢20.31±1.16歳)とした。測定項目として心理面では、不安の指標として水口ほか(1970)による日本語版状態-特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory,以下STAI)を用い、特性不安、状態不安の2項目を測定した。パフォーマンス面である制球力の測定は、ストライクゾーンを9分割した際の4隅と中心それぞれに番号を割り振り、被験者には指定した場所をねらい投球を実施させた。指定した場所と実際に投球をした場所との2点間の直線距離を、Frame-DIAS V(㈱ DKH)を用いて解析し制球力とした。投球数は指定場所(5か所)に各1球ずつ投球を行い、統制条件では18.44mの距離での制球力の測定(計5球)を実施し、実験条件では18.44m,12.44mの2つの距離で制球力を測定(計10球)した。実験条件では、被験者の不安を高めるための環境設定として、被験者全員での観察、不安を高める声かけ、順位づけ、報酬用いた。それぞれの条件での制球力を比較することで、不安が制球力に及ぼす影響を検討した。【結果・考察】統制条件の状態不安得点高低による群別に、各条件での制球力で対応のないMann-WhitneyのU検定を行った。その結果、実験条件12.44mでの制球力において、不安低群が有意に高い値(p<.05)を示した。しかし、統制条件18.44、実験条件18.44mの制球力では有意な差は見られなかった(n.s.)。Hardy et al(2010)の研究において、課題難易度を下げていく条件において不安高群で大きなパフォーマンス向上が報告されており、本研究においても先行研究を支持したことが考えられる。