[03心-ポ-71] 大学女子バスケットボールの新入生アスリートにおけるシーズン中のストレッサーとスポーツ傷害発生との関連性
唾液アミラーゼ値と主観的気分を指標として
本研究では、バスケットボール部に所属している大学女子新入生アスリート7名を対象とし、シーズン中のスポーツ傷害発生と生理指標、主観的気分について、シーズン前のストレッサーとの関連性を探索的に明らかにすることを目的とした。調査期間は、2022年5月から11月で16回測定を実施した。分析には、「通常」、「春の公式戦1週間前」、「春の公式戦2週間後」、「秋の公式戦1週間前」、「秋の公式戦中」、「秋の公式戦2週間後」の6つの時期に群分けを行った。急性ストレスの程度を評価するために、唾液アミラーゼモニター(ニプロ(株))を使用し唾液アミラーゼ値(KU/L)を用いた。ストレッサーを評価するために、「大学生アスリートの日常・競技ストレッサー尺度」(岡ほか, 1998)を用いた。また、主観的気分を測定するためにPOMS2短縮版(金子書房)を用いた。 その結果、シーズン中に受傷した選手は7名中2名(28.5%)で、発生時期は7月(足関節捻挫)と10月(肩関節亜脱臼の疑い)であった。シーズン前のストレッサーとシーズン中の総合的気分状態(TMD)との相関分析の結果、「春の公式戦2週間後」と「他者からの期待・プレッシャー」(r=.93)、「自己に関する内的・社会的変化」(r=.87)に有意な正の相関が示された。また、シーズン前のストレッサーとシーズン中の唾液アミラーゼ値との相関分析の結果、「春の公式戦1週間前」と「日常・競技生活での人間関係」(r=.95)との間に有意な正の相関が示され、「通常」と「クラブ活動内容」(r=.94)との間にも有意な正の相関が示された。シーズン中のTMDと唾液アミラーゼ値には、有意な相関関係は示されなかった。本研究では、シーズン中にスポーツ傷害が発生した選手との関連性は示されなかったが、ストレッサーと生理的・心理的指標との関連性が示唆された。