[08測-ポ-21] 大学生におけるクロール泳法およびバタフライ泳法授業中の運動負荷
【背景および目的】水泳は溺水や溺死といった命に関わる危険性があることから,個人特性に応じた運動負荷の設定が必要とされる.本研究は,大学生におけるバタフライ泳法授業中の運動負荷を心拍数によって明らかにすることを目的とした.【方法】2022年度に水泳を履修したK大学の17名(男性11名,女性6名)を対象とした.授業実施前に泳力および運動不振尺度等に関するアンケートを実施した.クロール泳法およびバタフライ泳法授業中の心拍数を測定し,各泳法の授業後(Pre)と最終授業(Post)において,25mクロールおよびバタフライの泳速度と泳法習得度を測定した.授業実施前に,バタフライを未修得と回答した者を未修得群(n = 10),バタフライを習得済と回答した者 (n = 7) を習得群とした.【結果】運動不振尺度において,両群間に有意な差はみられず,一般的な運動に対する苦手意識の違いは確認されなかった.未習得群のバタフライ泳法習得度は,Preと比較し,Postで有意に増加したが,バタフライの泳速度はPreとPost間に有意差はみられなかった.クロール泳法およびバタフライ泳法授業中の平均心拍数,最大心拍数および最小心拍数は,両群間で有意差はみられなかった.しかしながら,未習得群においてクロール泳法の授業中と比較し,バタフライ泳法の授業中の平均心拍数は10.5 ± 16.1%高い値を示した.さらに,Preのバタフライ泳法習得度とバタフライ泳法の授業中の平均心拍数との間に有意な負の相関関係がみられ,それらの関係は習得群および泳速度との関係ではみられなかった.【結論】バタフライ未習得者において,クロール泳法の授業中と比較し,バタフライ泳法の授業中の平均心拍数は約10%高く,未習得者の中でも特に泳法習得度の低い者で授業中の平均心拍数が高いことが明らかとなった.