[11教-ポ-04] 「主体的、対話的で深い学び」の実現に向けた教材としての「カーリング」
北海道稚内市内における教員向け「カーリング授業事前研修」から見えてきたこと
新学習指導要領において「主体的、対話的で深い学び」が謳われている中、本研究では「カーリング」に注目する。筆者が2021年に上梓した拙稿から見えてきた問題点として、カーリング指導経験の少ない教員が「学校現場でどのように授業を実施するのか」、「協会が行えるサポートは何か」という問いである。カーリングは他のスポーツと異なり、教師、部活動の顧問向けの「指導書」が充実しているとは言い難く、今後の教授法の研究蓄積が望まれるスポーツ種目の1つと考えられる。
そこで本稿は、稚内市内で学校現場の教員がカーリング授業を実施するための工夫や、注意点などを理解するために実施された「カーリング授業事前研修会」の取り組みとアンケート調査をもとに「カーリングの教材化」に向けた今後の可能性を検討することを目的とした。
結果として、第1に、教師として、特に保健体育を教えてきたものであっても、未知なるスポーツ、教材を教える際には「不安」がある。この点に立脚し、彼・彼女らの不安を取り除くためにサポート体制の構築が急務である。そのため、今回のような教師向けの「研修会」には一定程度のニーズがあるものと考えられる。一方のカーリング協会側もカーリングを「経験的に教える」ことが出来たとしても、「授業」の一環、「体育学的な意義」を考えながらカーリングを位置付けるための知識が十分であるとは言い難い。このようなカーリング協会側へのスキルアップ、知識の向上も不可欠と考えられる。
第2に、教材としてのカーリングについては、現行の学習指導要領とも親和性が高く、今回の「研修会」を通じて参加した教師たちのアンケート結果からも、その可能性が理解されたものと推察される。
結論として、五輪種目であるカーリングにおいても、他の競技スポーツのように競技団体の力を利用することなく、ごく当たり前に学校現場で取り入れられるような指導方法の確立が必要である。