[11教-ポ-10] 器械運動の授業における教育効果の検証
マット運動の採点活動に注目して
運動指導者が実際に指導を行うにあたり、動きの経過を観察しその良し悪しを判断できることは必須の能力であるだろう。例えば、マット運動の後転を指導する場面では、生徒の行った運動を見て「スムーズに回れている」や「地面を(マットを)手で押せていない」といったことを瞬時に判断し、場合に応じて助言をする必要がある。適切な判断を行うためには、運動構造を理解し、そこで目指されるべき目標像との隔たりを見極める事が求められる。その意味で、運動観察能力は重要な意味合いを持つといえる。保健体育科教員を志している学生が実際の学校現場に出て体育授業を行うことになれば、直ちに生徒一人ひとりの運動技能を評価する必要性に迫られる。成績評価ももちろんであるが、指導を行うにあたり、現状の動き方を見て改善方法を提案するためには、常に評価をする必要があるといえよう。しかし、保健体育科の教員免許状を取得できる大学において、実技能力の獲得と指導方法の習得に比べて、評価のための運動観察能力の向上については取り扱われることが少ないように感じられる。そこで本研究では、器械運動のマット運動の授業事例を取り上げ、保健体育科の教員免許状の取得を志す大学生の運動観察能力についての調査を行う。その上で、どのようにして運動観察能力を向上させることができるのか、また今後の大学体育授業でどのようにして取り扱っていくべきなのかという示唆を得ることを目的とした。
本研究の対象者はO大学で実施されている科目(器械運動)のマット運動に参加した受講者71名であり、彼らはA、Bの2グループに分類された。課題演技は「側方倒立回転~前転~伸身とび1/2ひねり~伸膝後転」という4技を設定した。採点にあたり、Aグループには採点方法のみを、Bグループには採点方法に加えて採点時のポイント等の運動観察方法を説明した。結果等の詳細は当日の発表ポスターに記載する。