[11教-ポ-20] 体育教師教育者による協同的な授業実践と省察における検証
本研究の目的は、2名の体育教師教育者による協同で行った授業実践および振り返りを通した専門的学習の内実の解明である。そのために,協同的なセルフスタディ(e.g., Loughran, 2005)の手法を適用して、収集したインタビューデータを解釈的現象的分析にて検証した。調査内容と方法は、2名の体育教師教育者(1名は専任教員:PETEor A、1名は非常勤講師:PETEor B)が協同で講義を担当している科目の実施後に、クリティカルフレンズ1名を含む3名のグループインタビューを実施した。 分析の結果、PETEor Aから抽出されたカテゴリーは「自身の実践の振り返り」、「学生の理解の深まり」などがあった。PETEor Aにとって協同的な授業実践の「場」は、日々の活動の場であるが故に、協同で行う同僚的な教師教育者の存在によって、本実践に留まらず、自身の実践を省察的に振り返る契機の場として機能していた。次に、PETEor Bから抽出されたカテゴリーは「非常勤講師としての挑戦」、「自己の役割についての再認識」などが含まれた。PETEor Bは、協同的な授業実践の中で、大学組織やカリキュラム、そして学生の多様性を認識しつつも、自己の働く「場」との相違を省察していた。2名に共通していたカテゴリーは「教師教育者の協同性」であった。2名の体育教師教育者は、教師教育者が固有に有する「教えることを学ぶこと」といった「ペタゴジー(pedagogy)」(ロックラン・武田,2019) の複雑さや異なる空間(「サードプレイス」)の必要性への理解が深まった。本研究は日本固有、あるいはケーススタディであるために、引き続き、事例の蓄積が必要不可欠である。詳細については、当日に発表する。