[11教-ポ-23] 体育授業における生徒の自由に関する質的研究
教育的技法としての「規律・訓練」と「子どもの自主性」に着目して
近年の体育授業では,子どもの自主性・主体性を重視した授業づくりが求められている。その中で,子どもの自由を重視する授業は,活動の中でフィードバックしない「やらせっぱなし」や「放任」に陥る危険性があり,子ども任せにする「放任する教育観」に立つのではなく,必要に応じて「支える教育観」へ転換すべきであるという指摘(朝日新聞,2021年4月14日)。こうした子どもの自由を重視した体育授業のあり方を考える上で,運動部活動における「自主性」の理念が生徒によって事実化する過程を,フーコーの権力論を援用しながら「規律」と「自主性」を対立するものではなく,生徒の振る舞いを導く「教育的技法」として捉えることによって分析した下竹(2022)の研究は有益な示唆を与えてくれる。本研究のでは,この下竹(2022)の分析方法を援用し,子どもの自由を重視した体育授業において,教師が「規律」と「自主性」の理念をどのように位置づけているのか,そしてそれが子どもの学習活動として事実化されているのかを明らかにすることを目的とした。