[09方-ポ-15] プレセット局面中の見本映像の視聴によるvisual search strategiesとドロップジャンプパフォーマンスとの関係
下肢の伸張-短縮サイクル能力を高めるプライオメトリックトレーニング手段としてドロップジャンプ(DJ)がある。これまでに、DJにおける踏切を行う前の台上に位置する局面(プレセット局面)の脳内状態がパフォーマンスに影響することが報告されている。また、プレセット局面中にDJの見本映像を観察することで、踏切中の下肢3関節のパワー発揮、動作が即時的に改善されることが示されている。一方、パフォーマンスの即時的な改善には個人差が認められたことから、対象者によって映像の観察方法が異なることが考えられる。本研究では、プレセット局面中の見本映像観察中の視覚探索方略とDJパフォーマンスとの関係について明らかにすることを目的とした。大学運動部女子選手22名を、測定後の映像観察方法についての回答結果を基に、身体全体を観察していた群(Whole群12名)と身体の一部分のみを観察していた群(Part群10名)に分類し、台高0.3mからのDJをスクリーン上に映した見本映像を観察してから行う条件(Movie条件)と観察しないで行う条件(Normal条件)で実施させた。その際、パフォーマンス変数(リバウンドジャンプ(RJ)指数、跳躍高、接地時間)を算出するとともに、ウェアラブルアイトラッカーを用いて見本映像観察中の眼球運動を計測し、Gazeマップを算出した。その結果、Whole群のみMovie条件でRJ指数が有意に向上した。また、各群の対象者のGaze マップを比較するとMovie条件でRJ指数を向上させた対象者は画面中央を見る割合が高く、視線移動の幅は狭い傾向がある一方で、Movie条件でRJ指数を低下させた対象者は足部付近の画面を見る割合が高く、視線移動の範囲も広い傾向であった。 したがって、見本映像を観察する際、観察方法にも着目することで、パフォーマンス変数の即時的な改善が促されることが示唆された。