[09方-ポ-16] 競技者のパワー発揮特性を評価する方法
MCT-jump testを用いて
これまでジャンプ運動を用いて競技者のパワー発揮能力を評価した研究は数多く存在し、代表的なジャンプ運動としてはCMJ、SJ、DJが挙げられる。パワーを評価する際、CMJおよびSJでは跳躍高、DJでは跳躍高を接地時間で除すことによって算出されるRSIを指標とする場合が多く、それぞれで評価されるパワーの特徴には違いがある。また、最近では新たなジャンプテスト(MCT-jump test)も考案されている。MCT-jump testは、30cmの台上から跳び降りた後、再び跳び上がるジャンプ運動を複数回行うものであり、接地時間の範囲は0.1秒–1.0秒程度と広く設定されている。接地時間の長さに応じてジャンプ運動における沈み込みの深さが変化することから、MCT-jump testでは評価されるパワーの特徴が接地時間ごとに異なる可能性がある。しかし、これまでMCT-jump testにおける接地時間ごとの跳躍高と他のパワー評価指標との関係について検討した研究はない。そこで本研究では、MCT-jump testにおける接地時間ごとの跳躍高とRSI、CMJおよびSJの跳躍高との関係について明らかにすることを目的とした。陸上競技を専門とする男子大学生を対象にCMJ、SJおよびMCT-jump testを実施し、CMJとSJでは跳躍高、MCT-jump testでは接地時間が最短の試技においてRSIを算出した。さらに、MCT-jump testにおける各試技の接地時間を独立変数、跳躍高を従属変数とする回帰分析を実施し、0.1–1.0秒まで0.1秒ごとに跳躍高を求めた。回帰分析によって得られた接地時間ごとの跳躍高と他の変数との関係性については、Pearson の積率相関係数を算出した。その結果、接地時間ごとの跳躍高と他のパワー評価指標との間に有意な相関関係が認められた。