60th Annual Meeting in Autumn

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60周年記念講演

60周年記念講演
歯科医療を取り巻く環境の変化-医療・医学の視点から-

Sun. Dec 17, 2017 1:20 PM - 3:00 PM A会場 (メインホール)

座長:栗原 英見(特定非営利活動法人日本歯周病学会理事長/広島大学大学院医歯薬保健学研究科歯周病態学研究室)

[ML-1] 今後の歯科保健医療の方向性

椎葉 茂樹 (厚生労働省大臣官房審議官)

研修コード:2112

略歴
・昭和63年 産業医大卒業・厚生省入省
       労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課
・平成5年  青森県むつ保健所長
・平成11年 厚生省児童家庭局母子保健課課長補佐
・平成19年 富山県厚生部長
・平成23年 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長
・平成25年 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長
・平成28年 厚生労働省大臣官房審議官(医政、精神保健医療、災害対策担当)
高齢化の進展や歯科保健医療を取り巻く環境の変化に伴って,歯科保健医療の需要に変化が生じており,今後は,従来型の歯の形態回復に特化した治療だけではなく,機能回復や疾患等の予防に対する需要が増加することが予想されます。また,現在の外来診療を中心とした歯科医療の提供体制に加えて,病院の入院患者や居宅の療養者等に対する,地域完結型の歯科医療の提供体制を構築することが求められています。このため,これまで歯科医療機関あるいは歯科専門職種で完結していた歯科保健医療は,地域包括ケアシステムの構築にあたって,医科歯科連携等の他職種協働が更に必要とされています。こうした状況を踏まえ,地域包括ケアシステムにおける歯科医療機関の役割や,具体的な医科歯科連携方策や歯科疾患予防策等について具体的に提言を行うべく,検討会において現在議論しているところです。
また,厚生労働省においては,8020運動や「歯科口腔保健の推進に関する法律」に基づく総合的な歯科口腔保健施策の展開により,平成28年歯科疾患実態調査において,8020を達成した人の割合が,前回調査の40.2%から51.2%に増加するなど,成果をあげてまいりました。近年では,口腔機能管理が誤嚥性肺炎の発症予防になることや,歯周病が糖尿病のコントロールを悪化させることなど,口腔の健康は全身の健康と深い関係を有するという知見の高まりがあり,生涯を通じた歯科健診の充実等により,歯周病の予防を含む,歯・口腔の健康の保持・増進を一層図ることが重要となっています。貴学会が「歯周病撲滅」という大きな目標に取り組まれることは,まさに時宜を得たものであり,国民の歯・口腔の健康の保持・増進の一助となることを期待します。