60th Annual Meeting in Autumn

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60周年記念講演

60周年記念講演
歯科医療を取り巻く環境の変化-医療・医学の視点から-

Sun. Dec 17, 2017 1:20 PM - 3:00 PM A会場 (メインホール)

座長:栗原 英見(特定非営利活動法人日本歯周病学会理事長/広島大学大学院医歯薬保健学研究科歯周病態学研究室)

[ML-3] 日本歯科医師会の歯科医療政策~これまでの10年とこれからの10年

堀 憲郎 (公益社団法人 日本歯科医師会会長)

研修コード:2112

略歴
1979年3月 日本歯科大学卒業
1997年4月~2000年3月 新潟県歯科医師会理事
2000年4月~2005年3月 新潟県歯科医師会常務理事
2005年4月~2006年3月 新潟県歯科医師会専務理事
2006年4月~2009年9月 新潟県歯科医師会常務理事
2006年4月~2011年3月 日本歯科医師会理事
2011年4月~2015年6月 日本歯科医師会常務理事
2011年4月~2015年6月 中央社会保険医療協議会委員
2011年4月~2015年6月 社会保障審議会医療保険部会委員
2016年3月~現在 日本歯科医師会会長
「伸び続ける医療費の問題をどうするのか」という議論が国の重要な問題になる中で,平成14年から歯科の医療費だけは減り続け,7年間でその減少額は合計570億円に達するという,歯科界はとんでもない危機的な状況にありました。そのような閉塞状態にあって,日本歯科医師会を中心に,この危機を如何に克服するべきか,そしてどのような新しい歯科医療の将来像を描いていくのか,10年以上に亘り議論を重ね,対応をしてきました。
今,日本歯科医師会は「長寿社会においてはただ長く生きることを目標にするのではなく,むしろ食べる,話す,笑うという,日常生活の基本となる機能を人生の最後まで全うし,尊厳を持って生き抜くことを目標にするべきである」という明確な方向性を得るとともに「その部分において歯科医療提供者としての,新しく大きな役割と責任を果たす」という,はっきりとした目標も得ています。
その目標達成の為に,これまで超高齢社会における歯科医療の重要性や口腔健康管理の必要性を,数多くのエビデンスを示しつつ,理解を求める発信を続けて来たところです。
その積み重ねにより,近年歯科医療や口腔健康管理に対する国民的理解が進み,各方面から歯科界への期待が高まっていることはご承知のとおりです。国の様々な審議会で,歯科以外の立場の方々から歯科医療に期待する発言が相次ぎ,また例えば特定健診の質問事項や病床機能報告に初めて歯科項目が入り,更には骨太の方針2017にも「口腔の健康は全身の健康にもつながることから,生涯を通じた歯科健診の充実,入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進など歯科保健医療の充実に取り組む」と明記されました。
私たちはこの期待に応えて,これまで培ってきた多くの歯科医療施策に関する提言を展開していくべき重要な時期にあると認識しています。そしてそのためには,日本歯科医師会を中心に日本歯科医学会,日本歯科医師連盟,歯科産業界,歯科行政という「臨産学官」が,新しい歯科医療の姿について認識を共有し,オールデンタルで対応を進めていく必要があると考えます。
一方,我が国の医療政策は,地域医療構想,地域包括ケアシステム,地域医療介護総合確保促進法等の言葉が示すとおり着実に地域にシフトしています。従ってこの地域重視型,地域完結型の医療政策全体の中に,我々の目指す歯科医療政策をいかに位置づけて書き込むかが,歯科界の将来を左右する課題になります。今,歯科界は閉塞状態からの脱却ができるかどうかの,歴史的にも重要な局面にあると認識されます。
講演では,10年~15年前の危機的状況から,歯科界がどのような議論と対応を重ねて来たかを振り返るとともに,歯科界の現状の分析を踏まえて,今後展開していくべき歯科医療政策についての考えをお示ししたいと存じます。