[CS4-2] 糖尿病と歯周病の分子疫学
研修コード:2504
略歴
1985年 九州大学歯学部卒業
1988年 岡山大学歯学部附属病院助手
1990年 米国コロンビア大学留学
1995年 岡山大学歯学部附属病院助手
1997年 岡山大学歯学部附属病院講師
2003年 岡山大学大学院医歯学総合研究科助教授
2006年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授
2013年 九州大学大学院歯学研究院教授
2015年 九州大学歯学研究院副研究院長
現在に至る
1985年 九州大学歯学部卒業
1988年 岡山大学歯学部附属病院助手
1990年 米国コロンビア大学留学
1995年 岡山大学歯学部附属病院助手
1997年 岡山大学歯学部附属病院講師
2003年 岡山大学大学院医歯学総合研究科助教授
2006年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授
2013年 九州大学大学院歯学研究院教授
2015年 九州大学歯学研究院副研究院長
現在に至る

演者はこの分子疫学を少し拡大解釈し,糖尿病と歯周病の因果関係を考察するツールとして用いることも有用ではなかろうかと考えている。『歯周病治療によって糖尿病の血糖コントロールが改善する』か否かについては,これまで数多くの研究がおこなわれてきたが,近年の複数のスタディを除けば,その多くはいわゆる従来の疫学的なアプローチであり,分子疫学に基づくものではない。したがって,歯周病治療と血糖コントロールの間には大きなブラックボックスが介在し,相関を見た研究が圧倒的多数であった。分子疫学的手法に則るのであれば,歯周病治療でなぜ糖尿病の血糖コントロールが改善するのか,その分子基盤を理解したうえで,①どのような歯周病を有するどのタイプの糖尿病に対して,②何をバイオマーカーとして,③いかなる歯周治療を行い,④どの程度のマーカーの推移を主要評価項目とすると,⑤どのような機序で血糖コントロールが改善する(あるいはしない)かを突き詰めて考えなければならず,またそのようなアプローチによってのみ一貫性のある結果が得られるはずである。
本シンポジウムでは,この概念に基づいて演者らがこれまでに行ってきた糖尿病と歯周病の因果関係の解明を目的とした基礎・臨床研究を包括的に紹介することで,医科歯科双方の相互理解を深め,シンポジウムの究極の目的である医科歯科連携を一層進めるための一助としたいと考えている。同時に従来の単なる疫学的アプローチの問題点についても一緒に考えてみたい。