[DP-64] 重度歯周炎に罹患した晩期残存上顎第2乳臼歯にトライセクションおよびトンネリングを施した一症例
A case report of treatment with root trisection and tunnel preparation in a maxillary retained second deciduous molar
研修コード:2504
Keywords:トンネリング、晩期残存乳臼歯、SPT
【症例の概要】晩期残存乳歯はう蝕よって抜歯に至ったり,経時的に歯根吸収が進行して自然脱落することが多く歯周炎に罹患して晩期残存していることは少ない。今回我々は重度歯周炎に罹患し根分岐部病変Ⅲ度を有する上顎第2乳臼歯に,トライセクションおよびトンネリングを施すことで良好な予後を得ている症例を経験したので報告する。
初診:平成7年10月,40歳女性 主訴:左下の奥歯がしみる
【治療方針】重度の歯周炎であるが,抜歯をしたくないという患者の希望もあり出来るかぎり保存的な治療を試みる。
【治療経過】歯周基本治療とともに,主訴である37のう蝕は充填処置を施した。根尖近くまで骨の吸収が進行している47は抜歯となった。再評価後16, E, 14, 26には歯周外科処置を施した。上顎は装着されている不適合な補綴物を除去し,全顎的な補綴処置にて対応した。SPTに移行後3年目に46遠心根,21年目に近心根が抜歯となった。現在SPTに移行して21年が経過しているがトライセクション・トンネリングを施した右上第2乳臼歯は安定した状態を維持している。
【考察・結論】晩期残存乳臼歯が歯周炎に罹患した場合,ルートトランクが短いことから骨の吸収とともに根分岐部病変に移行しやすくその治療には難渋する。晩期残存した上顎第2乳臼歯の根分岐部病変Ⅲ度に対するトライセクション・トンネリングについては我々が渉猟した限りその報告はない。今回慎重な治療を施すとともに清掃性を確保することでトンネル部位を良好に維持することが出来,初診から現在22年が経過しているが非常に安定した予後が得られた。
初診:平成7年10月,40歳女性 主訴:左下の奥歯がしみる
【治療方針】重度の歯周炎であるが,抜歯をしたくないという患者の希望もあり出来るかぎり保存的な治療を試みる。
【治療経過】歯周基本治療とともに,主訴である37のう蝕は充填処置を施した。根尖近くまで骨の吸収が進行している47は抜歯となった。再評価後16, E, 14, 26には歯周外科処置を施した。上顎は装着されている不適合な補綴物を除去し,全顎的な補綴処置にて対応した。SPTに移行後3年目に46遠心根,21年目に近心根が抜歯となった。現在SPTに移行して21年が経過しているがトライセクション・トンネリングを施した右上第2乳臼歯は安定した状態を維持している。
【考察・結論】晩期残存乳臼歯が歯周炎に罹患した場合,ルートトランクが短いことから骨の吸収とともに根分岐部病変に移行しやすくその治療には難渋する。晩期残存した上顎第2乳臼歯の根分岐部病変Ⅲ度に対するトライセクション・トンネリングについては我々が渉猟した限りその報告はない。今回慎重な治療を施すとともに清掃性を確保することでトンネル部位を良好に維持することが出来,初診から現在22年が経過しているが非常に安定した予後が得られた。