日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

歯科衛生士症例ポスター

リスクファクター関連

歯科衛生士症例ポスター
リスクファクター関連

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

HP-09~HP-13
(ポスター討論:12:00~12:50)

[HP-10] 非外科的歯周治療により改善した薬物性歯肉増殖を伴う慢性歯周炎の一症例

A case of chronic periodontitis with drug-induced gingival overgrowth improved by nonsurgical periodontal therapy

田中 吏絵,草場 裕美,志摩 沙耶佳,平橋 香,中村 恵子,古賀 千尋,金子 高士/Rie Tanaka,Hiromi Kusaba,Sayaka Shima,Kaori Hirahashi,Keiko Nakamura,Chihiro Koga,Takashi Kaneko (福岡歯科大学口腔医療センター/Fukuoka Dental College Center for Oral Diseases)

研修コード:2504

キーワード:慢性歯周炎、薬物性歯肉増殖、非外科的歯周治療

【はじめに】本症例ではカルシウム拮抗薬を服用し薬物性歯肉増殖を発症した慢性歯周炎に対し非外科的歯周治療を行い,良好な結果が得られたので報告する。
【初診】患者:44歳女性。初診日:2015年10月23日。主訴:1,2年前から右下の歯茎が腫れて歯がぐらぐらしている。既往歴:多発性嚢胞腎,高血圧。服用薬:アテレック20㎎,ニフェジピンCR80㎎。
【診査・検査所見】初診時PCR58%,BOP64%,PPDが4㎜以上の部位は55%,6㎜以上の部位は28%であった。全顎的に歯石の付着,歯肉増殖が認められた。X線写真では水平性骨吸収,47根尖周囲の骨吸収が認められた。
【診断】広汎性重度慢性歯周炎,薬物性歯肉増殖,47歯内歯周病変
【治療方針】腎疾患により血圧のコントロールが困難であったため,降圧剤の変更は行わずに基本治療を行う事とした。
【治療経過】①歯周基本治療 1)患者教育 2)口腔衛生指導 3)47の感染根管処置 4)スケーリング・ルートプレーニング 5)28抜歯 6)咬合調整②再評価③再SRP④再評価⑤口腔機能回復治療(17,47FMC)⑥再評価⑦SPT
【考察・まとめ】カルシウム拮抗薬による歯肉増殖では,薬剤の変更を行うことも多いが,その場合,血圧の変動,副作用などが問題となることがある。本症例は,多量なカルシウム拮抗薬を服用していたにもかかわらず,降圧剤の変更を行わず基本治療を行う事により改善がみられた。薬物性歯肉増殖では口腔衛生状態の悪化による再発がよくみられるため注意が必要となる。また47には現在5㎜の歯周ポケットが存在しており今後もSPTを継続させていく予定である。