日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

歯科衛生士症例ポスター

プロフェッショナルケア

歯科衛生士症例ポスター
プロフェッショナルケア

2017年12月17日(日) 09:00 〜 16:50 ポスター会場 (さくら)

HP-24~HP-27
(ポスター討論:12:00~12:50)

[HP-26] ~最後臼歯遠心の骨吸収の変化~

Changes of bon loss in the distal side of last molar

上田 順子/Junko Ueda (川南歯科医院/Kawaminami Denntal Clinic)

研修コード:2504

キーワード:骨吸収、咬合性外傷、細菌感染

【はじめに】最後臼歯の遠心はホームケアに於いて歯ブラシが届きにくく,歯周病やカリエスなどの支障をきたしやすい部位である。本症例では,全顎的には重度の歯周炎の症状は見られないが,左下最後臼歯遠心に限局した垂直性の深い骨吸収が認められたため,急発後の再発予防処置を集中的に行った。その結果,観察された骨の変化を報告する。
【初診】2016年2月12日(49歳・女性),主訴:左下最後臼歯の急発・咬合痛
【診査・検査所見】口腔内所見:初診時PCR35%,BOP3%,4mm以上PPD2.4%,X線所見:37番遠心垂直骨吸収,その他全顎的に顕著な歯槽骨の吸収は認められない。
【診断】限局型慢性歯周炎
【治療計画】1)主訴の解決 2)TBI・食習慣の改善 3)歯周基本治療・ポケット洗浄 4)再発予防の3DS(Dental Drug Delivery System) 5)SPT
【治療経過】1)2016年3月~歯周基本治療 2)2016年6月,再評価1,3)2016年10月,再評価2,4)2017年4月~SPT
【考察・まとめ】37番は急発時のパノラマ所見では根尖付近まで歯根膜腔が拡大し遠心面に歯槽骨の垂直吸収が確認された。応急処置として抗生剤の投薬と咬合調整が行われた。その後の再発予防を目的に1週間ごとの歯周ポケット内の洗浄とマウスピース除菌を継続し,およそ3か月ごとにX線で骨の変化を確認した。3ヶ月後には著明な骨の変化は認められなかったが,7ヶ月後と1年後には骨の透過像の改善が確認できた。咬合性外傷の改善と,集中的な歯周ポケット内洗浄による予防処置が歯槽骨の回復に有効な処置であることが示唆された。