歯科衛生士症例ポスター
メインテナンス・SPT

[HP-29] 非外科的治療と継続したSPTにより垂直性骨欠損部の歯槽骨の再生を獲得した1症例

A case report of regeneration of the alveolar bone with nonsurgical treatment and SPT.

北村 景子¹，長野 孝俊²，五味 一博²／Keiko Kitamura¹，Nagano Takatoshi²，Gomi Kazuhiro² (鶴見大学歯学部附属病院歯科衛生士部¹，鶴見大学歯学部歯周病学講座²／Division of Dental Hygine, Tsurumi University Dental Hospital¹，Department of Periodontology, Tsurumi University School of Dental Medicine²)

研修コード：2504

Keywords:非外科的治療、歯槽骨再生、Supportive Periodontal Therapy

【症例の概要】進行した歯周炎は歯周基本治療のみでは完全な治癒が困難である。特に，垂直性骨欠損部に対しては歯周組織再生療法の有用性が多数報告されている。しかしながら，今回，歯周基本治療と継続したSPTにより薬物性歯肉増殖症を伴う重度慢性歯周炎の著しい改善と，垂直性骨欠損部の歯槽骨の再生を獲得したので報告する。
【治療方針】①歯周基本治療および内科対診②再評価③歯周外科処置④再評価⑤咬合機能回復治療⑥SPT
【治療経過・治療成績】患者：57歳女性，初診：2012.10，主訴：歯肉が腫れて血が出る，全身的既往歴：高血圧症，現症：約3年前から歯肉腫脹が出現したが放置しブラッシング時の出血が著しくなり来院。所見：全顎的に歯根長1/3以上の水平性骨欠損と16.46に根尖にまで及ぶ垂直性骨吸収を認めた。BOP100％，PCR66%，全歯にわたり4～12㎜の深いPDDが存在。特に上下顎前歯部，上顎左側臼歯部には著明な歯肉増殖を認めた。経過：歯周基本治療と並行して内科対診を行いCa拮抗薬をARB錠に変更した。歯周基本治療終了後，歯肉増殖が残存した部位に対し外科的治療は行わずに再SRPを行い，その後も定期的な来院を継続した。歯周組織の著しい改善を認めたためSPTへ移行し，継続した来院を続けた結果，垂直性骨吸収が改善した。初診から5年後の現在も良好な経過を得ている。
【考察・結論】本症例から垂直性骨欠損部に対して感染源の除去を確実に行い，SPT移行後の変化に的確に対応し，歯肉縁上・縁下の適切な歯周インフェクションコントロールが実現できれば，非外科的治療であっても良好な経過が期待できる事が分かった。