日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

炎症

一般演題ポスター
炎症

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-046~P-060
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-046] ヒト歯肉上皮細胞における非神経性コリン作動系の発現

Expression of non-neuronal cholinergic system in human gingival epithelial cells

三木 康史,山下 元三,北村 正博,村上 伸也/Koji Miki,Motozo Yamashita,Masahiro Kitamura,Shinya Murakami (大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 歯周病分子病態学(口腔治療学教室)/Department of Periodontology, Osaka University Graduate School of Dentistry)

研修コード:2504

キーワード:非神経性コリン作動系、アセチルコリン、ヒト歯肉上皮細胞

【目的】上皮細胞は生体の最前線に位置しており外来刺激からの物理的防御壁として機能しているだけでなく,immuno-modulatorとして免疫反応に積極的に関与している事が明らかにされている。同様に,歯周病の発症進行過程においても歯肉上皮細胞が重要な役割を担っていると考えられる。アセチルコリンはコリン作動系神経伝達物質であることが知られているが,上皮細胞,内皮細胞,免疫細胞および心臓のような哺乳動物の非神経性の細胞においてもアセチルコリン構成要素が発現しているとの報告が近年されている。非神経性アセチルコリンは,限局された微小環境に存在するアセチルコリン受容体に作用して,細胞増殖・細胞間接着・遊走・分化あるいは炎症の制御などの微細な調節に関与していることが明らかになってきた。そこでヒト歯肉上皮細胞において非神経性コリン作動系要素が発現しているかどうかの検索を行った。
【材料及び方法】ヒト歯肉上皮不死化細胞株epi4よりRNAを抽出し,アセチルコリン合成酵素であるcholine acetyltransferase,貯蔵に関与するvesicular acetylcholine transporter,分解酵素であるacetylcholinesterase,受容体等のコリン作動系構成要素の遺伝子発現をRT-PCR法で検索した。また培養細胞の免疫化学染色を行った。
【結果および考察】epi4には,さまざまな非神経性コリン作動系の構成要素を発現していることが明らかとなった。これらの結果は,歯肉上皮細胞における非神経性コリン作動系が歯周組織の恒常性維持に関与し得ることを示唆しているものと考えられる。