[P-055] 歯周病原細菌感染によるNETs産生は血管内皮細胞における炎症反応を増悪させる
Periodontal bacteria-induced NETs production exacerbates inflammation in endothelial cells
研修コード:2203
Keywords:歯周病原細菌、好中球細胞外トラップ、血管内皮細胞
【目的】細菌感染に際して,好中球はneutrophil extracellular traps(NETs)を産生することで感染防御を担う一方,過剰なNETs産生は慢性炎症を誘導する。これまで我々は,歯周病原細菌Fusobacterium nucleatumの感染により好中球からNETsが産生されることを見出し,NETsにはmacrophage migration factor(MIF)が高発現することを明らかにした。MIFは動脈硬化症や慢性関節リウマチ等の炎症性疾患に高発現し,炎症反応の誘導に関わる。本研究は,F. nucleatum感染で産生されたNETsによる血管内皮細胞における炎症反応の誘導について検討した。
【材料と方法】ヒト前骨髄球細胞株HL-60をレチノイン酸含有RPMI 1640培地で分化誘導した好中球様細胞を供試した。F. nucleatum ATCC 25586株はtryptic soy brothにて嫌気培養した。好中球をF. nucleatumで感染後,DNase Iで処理しNETsを分離した。Transwell filter上に培養したヒト血管内皮細胞(HUVEC)を同NETsで刺激後,transmigration assayを行った。
【結果】HUVECをF. nucleatum感染により好中球から産生されたNETsで刺激すると,HUVECを介する好中球の細胞外遊走が亢進した。同作用は,NETsをMIFアンタゴニストであるISO-1で処理することにより抑制された。
【結論】NETsによる血管内皮細胞の炎症誘導が,歯周病の病態形成を増悪させる可能性が示唆された。
【材料と方法】ヒト前骨髄球細胞株HL-60をレチノイン酸含有RPMI 1640培地で分化誘導した好中球様細胞を供試した。F. nucleatum ATCC 25586株はtryptic soy brothにて嫌気培養した。好中球をF. nucleatumで感染後,DNase Iで処理しNETsを分離した。Transwell filter上に培養したヒト血管内皮細胞(HUVEC)を同NETsで刺激後,transmigration assayを行った。
【結果】HUVECをF. nucleatum感染により好中球から産生されたNETsで刺激すると,HUVECを介する好中球の細胞外遊走が亢進した。同作用は,NETsをMIFアンタゴニストであるISO-1で処理することにより抑制された。
【結論】NETsによる血管内皮細胞の炎症誘導が,歯周病の病態形成を増悪させる可能性が示唆された。