[P-074] ヒト老化歯根膜細胞におけるmicroRNA-34a-SATB2を介した硬組織形成制御
MicroRNA-34a / SATB2 axis regulates osteoblastic differentiation of senescent HPDL cells.
研修コード:2504
キーワード:歯周病、老化、miRNA、歯根膜細胞
【目的】歯根膜細胞は,豊富な細胞外基質を産生することで歯根膜の生理的特性を担う一方で,幹細胞能を有し,歯周組織再生の鍵となる細胞集団である。MicroRNA(miRNA)は,ストレス応答時に作動するタンパク質をコードしない小分子RNAであり,様々な疾患の発症に関与することが報告されている。我々はこれまでに老化歯根膜細胞におけるmiR-34aの発現増強並びに長寿遺伝子SIRT1の抑制制御を報告している。本研究では,miR-34aの標的分子の一つである,頭蓋顔面形成や骨芽細胞分化に関するSATB2に焦点をあて,高齢者の歯周組織に特徴的な幹細胞老化と治癒の遷延機構を検討することとした。
【材料と方法】in vitroにおいてヒト歯根膜細胞(HPDL)に複製老化を誘導した。継代数の異なるHPDLの組織幹細胞マーカーの発現をFACSにて解析した。合成二本鎖miR-34a模倣オリゴあるいは,相補鎖を持つ合成一本鎖miR-34a阻害オリゴを導入し,老化HPDLにおけるSATB2の発現制御機構について検討した。また石灰化誘導培地を用いて継代数の異なるHPDLの硬組織分化能を比較,検討した。
【結果と考察】老化HPDLにおいては,miR-34aの発現上昇と相関して,SATB2の発現は低下し,幹細胞マーカーの一つであるSSEA-3の低下が認められた。また老化HPDLにおいては硬組織形成能が低下していた。以上の結果より,歯根膜においては,加齢に伴う幹細胞数の減少ならびにmiR-34a—SATB2を介した硬組織形成細胞への分化の抑制が,高齢者における歯周組織の自己修復能の低下に関与していることが示唆された。
【材料と方法】in vitroにおいてヒト歯根膜細胞(HPDL)に複製老化を誘導した。継代数の異なるHPDLの組織幹細胞マーカーの発現をFACSにて解析した。合成二本鎖miR-34a模倣オリゴあるいは,相補鎖を持つ合成一本鎖miR-34a阻害オリゴを導入し,老化HPDLにおけるSATB2の発現制御機構について検討した。また石灰化誘導培地を用いて継代数の異なるHPDLの硬組織分化能を比較,検討した。
【結果と考察】老化HPDLにおいては,miR-34aの発現上昇と相関して,SATB2の発現は低下し,幹細胞マーカーの一つであるSSEA-3の低下が認められた。また老化HPDLにおいては硬組織形成能が低下していた。以上の結果より,歯根膜においては,加齢に伴う幹細胞数の減少ならびにmiR-34a—SATB2を介した硬組織形成細胞への分化の抑制が,高齢者における歯周組織の自己修復能の低下に関与していることが示唆された。