日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

骨・硬組織

一般演題ポスター
骨・硬組織

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-069~P-078
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-074] ヒト老化歯根膜細胞におけるmicroRNA-34a-SATB2を介した硬組織形成制御

MicroRNA-34a / SATB2 axis regulates osteoblastic differentiation of senescent HPDL cells.

池上 久仁子1,山下 元三2,中村 友美1,鈴木 美麻2,西川 有彩2,平沼 麻央2,三木 康史1,北垣 次郎太1,柳田 学3,北村 正博2,村上 伸也2/Kuniko Ikegami1,Motozo Yamashita2,Tomomi Nakamura1,Mio Suzuki2,Ayaka Nishikawa2,Mao Hiranuma2,Koji Miki1,Jirouta Kitagaki1,Manabu Yanagita3,Masahiro Kitamura2,Shinya Murakami2 (大阪大学歯学部附属病院口腔治療歯周科1,大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座歯周病分子病態学(口腔治療学教室)2,神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科3/Department of Periodontology, Osaka University Dental Hospital1,Department of Periodontology, Osaka University Graduate School of Dentistry2,Department of Oral Health, Kobe Tokiwa Junior College3)

研修コード:2504

キーワード:歯周病、老化、miRNA、歯根膜細胞

【目的】歯根膜細胞は,豊富な細胞外基質を産生することで歯根膜の生理的特性を担う一方で,幹細胞能を有し,歯周組織再生の鍵となる細胞集団である。MicroRNA(miRNA)は,ストレス応答時に作動するタンパク質をコードしない小分子RNAであり,様々な疾患の発症に関与することが報告されている。我々はこれまでに老化歯根膜細胞におけるmiR-34aの発現増強並びに長寿遺伝子SIRT1の抑制制御を報告している。本研究では,miR-34aの標的分子の一つである,頭蓋顔面形成や骨芽細胞分化に関するSATB2に焦点をあて,高齢者の歯周組織に特徴的な幹細胞老化と治癒の遷延機構を検討することとした。
【材料と方法】in vitroにおいてヒト歯根膜細胞(HPDL)に複製老化を誘導した。継代数の異なるHPDLの組織幹細胞マーカーの発現をFACSにて解析した。合成二本鎖miR-34a模倣オリゴあるいは,相補鎖を持つ合成一本鎖miR-34a阻害オリゴを導入し,老化HPDLにおけるSATB2の発現制御機構について検討した。また石灰化誘導培地を用いて継代数の異なるHPDLの硬組織分化能を比較,検討した。
【結果と考察】老化HPDLにおいては,miR-34aの発現上昇と相関して,SATB2の発現は低下し,幹細胞マーカーの一つであるSSEA-3の低下が認められた。また老化HPDLにおいては硬組織形成能が低下していた。以上の結果より,歯根膜においては,加齢に伴う幹細胞数の減少ならびにmiR-34a—SATB2を介した硬組織形成細胞への分化の抑制が,高齢者における歯周組織の自己修復能の低下に関与していることが示唆された。