日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

インプラント

一般演題ポスター
インプラント

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-089~P-090
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-089] 骨伝導能を有する窒化ケイ素セラミックスの歯科インプラントへの応用

Application of Silicon Nitride Ceramics having osteoconduction ability to Dental Implants

堀口 智史1,足立 哲也1,山本 俊郎1,Giuseppe Pezzotti2,松田 修3,金村 成智1/Satoshi Horiguchi1,Tetsuya Adachi1,Toshiro Yamamoto1,Giuseppe Pezzotti2,Osam Mazda3,Narisato Kanamura1 (京都府立医科大学歯科口腔科学1,京都工芸繊維大学セラミック物理学研究室2,京都府立医科大学免疫学3/Kyoto Prefectural University of Medicine Department of Dental Medicine1,Kyoto Institute of Technology , Ceramic Physics Laboratory2,Kyoto Prefectural University of Medicine Department of Immunology3)

研修コード:2609

キーワード:歯科インプラント、骨再生、窒化ケイ素

【目的】近年の歯科インプラントの成功率は95%を超えるが,我が国が迎える超高齢化社会において,骨が脆く創傷治癒が遅延する有病者や高齢者に対しては,既存の方法では十分な骨結合が得られないことが予想される。そこで,我々は優れた機械的特性と歯周病菌に対する抗菌活性を有する窒化ケイ素セラミックスに注目した。本研究は窒化ケイ素セラミックスがチタンと同様に骨伝導性を有するか検証し,新たな歯科インプラント材料になり得るか検討した。
【材料と方法】窒化ケイ素基板上に骨芽細胞様細胞株を播種し,骨誘導下で培養を行った。コントロールとしてチタン基板を使用した。7日後,基板上の細胞の石灰化の状態をレーザーラマン顕微鏡で観察し,培養上清中の成長因子IGF-1とsRANKLをELISAで測定した。また,骨基質タンパク質であるosteocalcinの免疫染色を行い,蛍光顕微鏡で観察した。
【結果と考察】窒化ケイ素基板上で培養した場合,チタン基板に比べ多くのハイドロキシアパタイトと骨基質タンパクが沈着した。また,窒化ケイ素の基板上の細胞はチタンと比較し有意にIGF-1の増加とsRANKLの減少を認めた。
【結論】窒化ケイ素基板上の骨芽細胞様細胞は,チタンと同等あるいはそれ以上に骨基質を形成し,IGF-1を産生することが明らかとなった。さらに,窒化ケイ素の抗菌活性とsRANKLの発現抑制により,インプラント周囲炎が予防できると考えられる。骨伝導を促進する窒化ケイ素インプラントは,高齢者など骨が脆弱な患者に対しても早期に安定した骨結合を獲得させ,これらの患者に対する成功率の改善とQOLの向上につながると期待できる。