[SY1-4] 唾液を歯周病診断にどう利用するか?
研修コード:2504
略歴
1983年 日本歯科大学歯学部 卒業
1987年 日本歯科大学大学院歯学研究科博士課程 修了
1989年 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 講師
1989年 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)歯学部 客員講師
1994年 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助教授
2005年 日本歯科大学歯学部歯周病学講座 教授
2006年 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 教授(所属名変更)
学会活動
日本歯周病学会専門医(指導医)
日本歯科保存学会専門医(指導医)
日本レーザー歯学会専門医(指導医)
1983年 日本歯科大学歯学部 卒業
1987年 日本歯科大学大学院歯学研究科博士課程 修了
1989年 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 講師
1989年 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)歯学部 客員講師
1994年 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助教授
2005年 日本歯科大学歯学部歯周病学講座 教授
2006年 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 教授(所属名変更)
学会活動
日本歯周病学会専門医(指導医)
日本歯科保存学会専門医(指導医)
日本レーザー歯学会専門医(指導医)
唾液は口腔機能の維持にとって不可欠な液体であり,情報の宝庫である。その中には口腔内の状態を反映する多くの成分が含まれるため,その成分検索により口腔内の病態情報収集が可能と考えられ,実際に齲蝕リスク判定(分泌量,緩衝能,細菌検査),口腔癌早期診断(バイオマーカー検索),口腔乾燥症診断(分泌量)そして歯周病診断(細菌検査,ヘモグロビン検査,乳酸脱水素酵素(LDH))などへの応用が行われて来た。
そして現在,唾液は口腔検査に留まらず全身検査として,薬剤の血中濃度のモニタリング,血糖値のモニタリング,血漿尿素窒素の推定,鬱病やアルツハイマー病のスクリーニング,ストレスマーカーの検索などにも幅広く応用されるようになっている。
歯周組織の状態に応じて唾液中の生化学成分,細菌数などが変化することは,唾液検査は歯周病診断や治療中の再評価時のみならず,治療終了後に行われる口腔内の清掃状況や歯周組織の変化に呼応した積極的な歯周組織の支援治療(Supportive periodontal therapy: SPT),メインテナンス時のモニタリングにも有用であることを意味する。
本学会でもSPT期治癒判定プロジェクトとして,吉江弘正教授主導のもと,19施設において歯周炎進行を唾液中細菌検査と血清抗体価検査から予知するための臨床研究を行い,歯周病の臨床症状と唾液中の生化学成分および歯周病原性細菌の状態とに関連を見出している。また唾液中の歯肉上皮細胞のDNA検索により,歯周病発症に対する感受性検索の可能性も示されていることから,唾液から歯周病患者のスクリーニング(検出),診断,治療効果の判定,治療後の再発防止,さらには将来の歯周病罹患の可能性までもが検索可能になると考察している。このように歯周病発症や再発の危険性を予見できることから,戦略的な定期管理プログラム構築にも唾液検査は応用可能である。
また唾液検査は企業検診などの集団検診の場で,多人数の中から歯周病罹患の可能性を持つ人の抽出(スクリーニング)を行う場合に大きな威力を発揮する。8020達成には歯周病の早期発見・早期治療,そして効率的継続管理が不可欠であることから,8020推進財団の指定研究として花田らを中心に研究が行われ,唾液中の潜血やLDH検索の有用性を示した事業報告書も取りまとめられている。
唾液検査による歯周病の発症後診断,発症前診断技術は,今後も多くの研究を礎に精度が高まり,確立されて行くに違いない。その際に大切なのは,検査側が各検査値の持つ意味を正しく理解し診断や治療に的確に繋げる知識を持ち,歯周病の診断精度を上げ,さらには診査システムとして活用することである。
さらに本シンポジウムのテーマである「医科歯科連携」を鑑みると,医科と歯科の共通言語の1つとして双方が唾液検査結果を共有し,歯周病とそれに関連する疾患予防や診断へ応用する道筋を作ることも急務である。
本シンポジウムではこれらの視点から唾液検査を再検証する。
そして現在,唾液は口腔検査に留まらず全身検査として,薬剤の血中濃度のモニタリング,血糖値のモニタリング,血漿尿素窒素の推定,鬱病やアルツハイマー病のスクリーニング,ストレスマーカーの検索などにも幅広く応用されるようになっている。
歯周組織の状態に応じて唾液中の生化学成分,細菌数などが変化することは,唾液検査は歯周病診断や治療中の再評価時のみならず,治療終了後に行われる口腔内の清掃状況や歯周組織の変化に呼応した積極的な歯周組織の支援治療(Supportive periodontal therapy: SPT),メインテナンス時のモニタリングにも有用であることを意味する。
本学会でもSPT期治癒判定プロジェクトとして,吉江弘正教授主導のもと,19施設において歯周炎進行を唾液中細菌検査と血清抗体価検査から予知するための臨床研究を行い,歯周病の臨床症状と唾液中の生化学成分および歯周病原性細菌の状態とに関連を見出している。また唾液中の歯肉上皮細胞のDNA検索により,歯周病発症に対する感受性検索の可能性も示されていることから,唾液から歯周病患者のスクリーニング(検出),診断,治療効果の判定,治療後の再発防止,さらには将来の歯周病罹患の可能性までもが検索可能になると考察している。このように歯周病発症や再発の危険性を予見できることから,戦略的な定期管理プログラム構築にも唾液検査は応用可能である。
また唾液検査は企業検診などの集団検診の場で,多人数の中から歯周病罹患の可能性を持つ人の抽出(スクリーニング)を行う場合に大きな威力を発揮する。8020達成には歯周病の早期発見・早期治療,そして効率的継続管理が不可欠であることから,8020推進財団の指定研究として花田らを中心に研究が行われ,唾液中の潜血やLDH検索の有用性を示した事業報告書も取りまとめられている。
唾液検査による歯周病の発症後診断,発症前診断技術は,今後も多くの研究を礎に精度が高まり,確立されて行くに違いない。その際に大切なのは,検査側が各検査値の持つ意味を正しく理解し診断や治療に的確に繋げる知識を持ち,歯周病の診断精度を上げ,さらには診査システムとして活用することである。
さらに本シンポジウムのテーマである「医科歯科連携」を鑑みると,医科と歯科の共通言語の1つとして双方が唾液検査結果を共有し,歯周病とそれに関連する疾患予防や診断へ応用する道筋を作ることも急務である。
本シンポジウムではこれらの視点から唾液検査を再検証する。