60th Annual Meeting in Autumn

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Sunstar Young Investigator Award口演

Sunstar Young Investigator Award口演

Sat. Dec 16, 2017 11:50 AM - 12:50 PM A会場 (メインホール)

座長:高柴 正悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野)

[SYIA-04] 3次元培養骨髄間葉系幹細胞集塊Clumps of a MSC/ECM complexの細胞分化を制御するメカノトランスダクション機構の解析

小松 奈央 (広島大学大学院医歯薬保健学研究院応用生命科学部門歯周病態学研究室)

研修コード:3104

Keywords:再生医療、間葉系幹細胞、三次元培養、メカノトランスダクション、YAP/TAZ

【目的】骨髄間葉系幹細胞(MSC)と細胞自身が産生する細胞外基質(ECM)を利用することでClumps of a MSC/ECM complex(C-MSC)が得られる。C-MSCは3次元的に培養される細胞集塊で,効果的な組織再生能を示す(Cytotherapy, 2015).一方,基質の固さ,細胞密度,浮遊状態などの因子がメカノトランスダクションを誘導し,転写制御因子YAP/TAZを介してMSCの細胞分化を制御するという報告がある。本研究では,C-MSC内においてもメカノトランスダクション機構が機能し,細胞分化能を制御するかを明らかにする。
【材料と方法】ヒトMSCsを24-well plateに2.0×105cells/wellで播種し,50μg/mlアスコルビン酸含有の増殖培地で4日間培養し十分なECMを産生させた。これを鈍的に剥離し,細胞シートの状態で浮遊させ,さらに増殖培地で5日間培養することで細胞集塊C-MSCを得た。または,このC-MSC作製過程を骨分化誘導培地で培養することで,骨分化誘導を施されたC-MSC(OIM-C-MSC)を作製した。この培養過程におけるC-MSCおよびOIM-C-MSCについて,I型コラーゲンの発現,F-actinの形態,YAP/TAZの局在と活性,分化能を解析した。
【結果と考察】C-MSC作製過程における浮遊培養状態では,F-actinの脱重合が促進した。これと一致して,経時的なYAP/TAZの核外移行,発現量の低下,およびその転写活性の低下が確認された。さらに,C-MSCは骨分化能のより脂肪・軟骨分化能が高かった。しかし,F-actinの脱重合の必須のcofilin1に対するsiRNAを導入したところ,YAP/TAZ活性が増加し,脂肪・軟骨分化能が低下し,骨分化能が上昇した。一方,OIM-C-MSCはC-MSCと比較して豊富なI型コラーゲンで形づくられており,高いYAP/TAZ活性を示した。このYAP/TAZ活性は,Integrinβ1 siRNA導入,もしくはF-actin重合阻害剤であるY-27632とblebbistatinによって抑制された。以上のことから,3次元培養されるC-MSCでは,浮遊状態であることでメカノトランスダクションが生じ,MSCsのYAP/TAZの核外移行を促進し,その活性を減弱させる可能性が示された。さらに,OIM-C-MSCでは豊富なI型コラーゲンを足場とすることで,F-actinの伸展を介してYAP/TAZ活性の低下が抑制されたと考えられる。
【結論】C-MSCにおいてメカノトランスダクションが機能し細胞分化を制御することが明らかとなった。