[KS1017-1] 脳機能マッピングからの感覚・運動機能の評価
脳磁図を用いた報告
中枢神経障害に対するリハビリテーションの効果を脳科学的側面から評価することには大きな意義がある。我々はこれまで,主に脳磁図を用いて,感覚・運動機能の評価法を検討してきた。本シンポジウムでは,これまでの我々の取り組みを紹介する。
①自己を取り巻く環境に発生した新たな事象に対し,脳は自動的にそれらを認知するシステムを備えている。我々は,この自動的な応答を評価するパラダイムを考案し,変化関連活動として報告した1)。変化関連活動は,注意状態に依存されない応答であり,高次脳機能の評価に有用な指標となる。また,変化関連活動は事前に微弱な変化を与えることで減衰する。我々は,触覚刺激のパラダイムを用いて,この減衰が大脳皮質感覚野における抑制機能を反映していることを見出した2)。大脳皮質の抑制機能を評価するシステムは未だ確立されていないが,本報告はその一助となる可能性がある。
③運動機能の改善に伴う脳活動変化の計測における試みとしては,運動や運動イメージに対するMEG応答を記録してきた。運動イメージによる脳磁場応答は,背景脳磁場活動の変化により捉えることができ,Brain machine interface(BMI)の技術にも応用される。本シンポジウムでは,動作の種類や難易度によって左右半球の活動分布が異なるという我々の報告3)を合わせて,運動機能の評価について紹介する。
今後の再生医療やロボット介入などの新規リハビリテーションの発展に伴い,リハビリテーションの効果を脳機能マッピングから評価する重要性は高まると思われる。脳磁図は,直接的に神経活動を評価でき,時間分解能に優れるという利点を有しているため,リハビリテーションの評価に有用なツールの一つとなるだろう。
参考文献
1)Nakagawa, et al., NeuroImage 86, 131-137, 2014.
2)Nakagawa, et al., NeuroImage 101, 416-424, 2014.
3)Nakagawa, et al., Neuroreport 22, 217-222, 2011.
①自己を取り巻く環境に発生した新たな事象に対し,脳は自動的にそれらを認知するシステムを備えている。我々は,この自動的な応答を評価するパラダイムを考案し,変化関連活動として報告した1)。変化関連活動は,注意状態に依存されない応答であり,高次脳機能の評価に有用な指標となる。また,変化関連活動は事前に微弱な変化を与えることで減衰する。我々は,触覚刺激のパラダイムを用いて,この減衰が大脳皮質感覚野における抑制機能を反映していることを見出した2)。大脳皮質の抑制機能を評価するシステムは未だ確立されていないが,本報告はその一助となる可能性がある。
③運動機能の改善に伴う脳活動変化の計測における試みとしては,運動や運動イメージに対するMEG応答を記録してきた。運動イメージによる脳磁場応答は,背景脳磁場活動の変化により捉えることができ,Brain machine interface(BMI)の技術にも応用される。本シンポジウムでは,動作の種類や難易度によって左右半球の活動分布が異なるという我々の報告3)を合わせて,運動機能の評価について紹介する。
今後の再生医療やロボット介入などの新規リハビリテーションの発展に伴い,リハビリテーションの効果を脳機能マッピングから評価する重要性は高まると思われる。脳磁図は,直接的に神経活動を評価でき,時間分解能に優れるという利点を有しているため,リハビリテーションの評価に有用なツールの一つとなるだろう。
参考文献
1)Nakagawa, et al., NeuroImage 86, 131-137, 2014.
2)Nakagawa, et al., NeuroImage 101, 416-424, 2014.
3)Nakagawa, et al., Neuroreport 22, 217-222, 2011.