第51回日本理学療法学術大会

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日本支援工学理学療法学会

日本支援工学理学療法学会
ICTを活用した遠隔地リハ支援の可能性について

Sat. May 28, 2016 1:00 PM - 3:00 PM 第3会場 (札幌コンベンションセンター 1階 中ホール)

司会:鈴木英樹(北海道医療大学大学院リハビリテーション科学研究科)

[KS1034-3] 病院と自宅間で力と運動の共有が可能なリハビリテーション支援システムの開発と問題点

三好孝典 (豊橋技術科学大学機械工学系)

インターネットを象徴としたICT(情報通信技術)の発達がめざましい。この技術に触発されて,遠隔モニタリング,遠隔診断,遠隔診療,遠隔看護など,様々な取り組みが行われている。特にリハビリテーションに関しては,遠隔指導が既に実施されている。これらの多くは映像と音声に基づいたもので,中心となる装置はテレビ電話である。一方,近年,自動運転に象徴されるロボット技術(RT)も脚光を浴びており,ロボット技術を利用したリハビリテーションも数多く提案されている。これらを融合したもの,すなわちICRT(Information Communication Robot Technology)が,著者らが取り組んでいる遠隔地間のリハビリテーション支援システムである。

これは,患者の自宅にスレーブと呼ばれるロボットを,病院にマスタと呼ばれるロボットを設置し,マスタ・スレーブが病院に存在する理学療法士・作業療法士の動きや,自宅にいる患者の力をそのまま再現するものである。病院の理学療法士がマスタを動かすと,自宅のスレーブは理学療法士の動きそのままに運動する。患者は目前のスレーブの運動,すなわち理学療法士の運動に従うことで,リハビリテーションを効率よく進めることができる。一方,患者がスレーブに抗う抵抗力は,そのままマスタの抵抗力となって現れ,理学療法士はマスタを通じて患者との力のやり取りを触知覚することができる。このように,患者と理学療法士がロボットを介して力と運動を共有し合い,効率よく無理のない安全なリハビリテーションを遠隔地間で実現することを目指している。

本システムの最大のメリットは,患者ならびに介助者の通院に関わる身体的,時間的,コスト的負担を大きく軽減できることである。一方,問題点は,法律,リハビリの効果,設備コスト,そして安全性である。これらの点について,シンポジウムにおいて議論を深めたい。