第51回日本理学療法学術大会

講演情報

日本心血管理学療法学会

日本心血管理学療法学会
カレントトピックス

2016年5月28日(土) 14:40 〜 15:40 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:木村雅彦(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科)

[KS1065-1] 電気刺激療法

岩津弘太郎1, 飯田有輝2, 河野裕治3, 小林聖典4, 山崎武則5, 貝沼関志6, 碓氷章彦7, 山田純生8 (1.国家公務員共済組合連合会枚方公済病院リハビリテーション科, 2.愛知厚生連海南病院リハビリテーション科, 3.藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院リハビリテーション部, 4.名古屋大学医学部附属病院医療技術部リハビリ部門, 5.愛知厚生連海南病院心臓血管外科, 6.名古屋大学医学部附属病院外科系集中治療部)

電気刺激療法は,電流によって神経の活動電位を誘発し,それに伴う生理学的変化を臨床応用した物理療法の一つである。従来,理学療法領域では,主に運動器疾患や中枢神経疾患の患者に対し疼痛軽減や運動機能回復を目的に適用されてきた。一方,電気刺激療法には,随意努力を必要とせず他動的に筋収縮を誘発できるという特性があることから,その適用は自覚症状や病態により,自発的運動が困難な内部障害患者にまで広がっている。先行研究では,安定期にある重症の慢性心不全や慢性呼吸不全患者において電気刺激療法が筋力や運動耐容能を改善したことが数多く報告されている。さらに,近年では病態が不安定な超急性期の患者に対しても適用されるようになってきており,電気刺激療法が集中治療管理中の重症疾患患者における骨格筋萎縮や筋力低下の予防方策となる可能性が指摘されている。
このような電気刺激療法の適用拡大の背景には,医療技術の進歩に伴う重症患者や高齢患者の増加がある。したがって,今後も電気刺激療法は重症例に対し,早期に適用される方向へ進むことが予想される。しかしながら,急性期の重篤な病態の患者に対して電気刺激療法を適用するにあたっては検討すべき課題も多く残っている。まず,超急性期の患者を対象に電気刺激療法の安全性を詳細に検討した報告は極めて少なく,不安定な病態に対し電気刺激療法が与える影響は明らかでない。また,超急性期の重症患者における骨格筋萎縮や筋力低下の要因は,安静臥床のみでなく,病態や治療に伴う侵襲,栄養状態など様々な要因が関与しているが,これらの要因が電気刺激療法の介入効果に与える影響も明らかでない。本講演では,超急性期または重症疾患患者における電気刺激療法の安全性と有効性に関する我々の自験例を今後の課題と共に提示したいと思う。