第51回日本理学療法学術大会

講演情報

日本心血管理学療法学会

日本心血管理学療法学会
カレントトピックス

2016年5月28日(土) 14:40 〜 15:40 第2会場 (札幌コンベンションセンター 1階 特別会議場)

司会:木村雅彦(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科)

[KS1065-3] 地域連携と心血管理学療法

安藤真次 (臼杵市医師会立コスモス病院リハビリテーション部)

当院の所在地である臼杵市では,平成26年度の高齢化率は35%を超えており,「2025年問題」とされている平成37年には高齢化率が推定で40%を超える。臼杵市の調査によると,要介護・介助が必要な原因として骨折・転倒(15.5%)に次いで心臓病(14.7%)が高い割合を示しており,生活期での心血管理学療法は非常に重要と考える。
急性期,回復期心臓リハビリテーションを終え,生活期へと移行する先には病気を理解・共存し,いかに住み慣れた地域で「QOLの維持・向上」=「自分らしいあたりまえの生活」を過ごしていけるかが課題となる。そのため医療施設・介護施設・在宅生活に関わるスタッフおよび家族にはシームレスな情報共有が重要となってくる。また,この住み慣れた地域や自宅での生活を地域全体で支える「地域完結型」にするには,医療・介護の在り方を「ご当地医療」として地域ごとに考えていく必要がある。
当院では「心不全地域連携シート」や「石仏ねっと」に見られるように,医療スタッフと介護スタッフとの連携,家族および介護保険下で日常生活をマネジメントするケアマネジャーとの連携を密にし,患者および家族を含んだ全てのスタッフが解決すべき課題について介入することを重要視している。平成27年度介護報酬改定の基本的な考え方に「活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの推進」が掲げられ,単なる機能回復訓練ではなく日常生活の活動を高め,家庭や社会への参加を可能にし,その自立を支援することが我々理学療法士に求められている。また,生活期における理学療法士の役割が本人への直接的な「一対一」の関係から家族および関係スタッフ等への側面への支援,つまり「一対多」の関係づくりへと拡がりをみせている。この「支え合う地域づくり」すなわち「地域包括ケアシステム」構築の取り組みを心血管理学療法の分野を通して報告する。