第51回日本理学療法学術大会

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産学連携セッション

産学連携セッション
臨床理学療法を運動学習理論から考える

Sun. May 29, 2016 12:20 PM - 1:20 PM 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

司会:小松泰喜(日本大学スポーツ科学部)

[KS1129s2-1] Pusher症状を呈した重症片麻痺例に対する運動学習理論を用いたADL練習

山﨑裕司 (高知リハビリテーション学院)

これまで理学療法士は脳血管障害患者の動作障害の原因を機能障害に求めてきた.しかし,運動麻痺や高次脳機能障害は,ある程度の期間が経過すれば回復しない.この考え方に立つとADL能力の回復には,おのずと限界が訪れる.
運動学習理論では,動作障害の原因に学習の問題を加える.重度の片麻痺を生じた身体で行うあらゆる動作は,初めて行う動作であることを自覚すべきである.経験のない人が一輪車に乗れないように,片麻痺患者も基本動作が困難になる.練習すると一輪車には乗れるようになる.それと同じく片麻痺患者の基本動作も適切な練習によって学習することができる.このように考えると,動作能力には大きな可塑性を見出すことができる.
学習を促進するための基本原則は無誤学習である.今回のセミナーでは,重症の片麻痺例に対する無誤学習による立位保持練習を紹介する.運動学習理論に立脚したADL練習によって片麻痺者の動作能力予後は必ず改善する.