第51回日本理学療法学術大会

講演情報

産学連携セッション

産学連携セッション
臨床理学療法を運動学習理論から考える

2016年5月29日(日) 12:20 〜 13:20 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

司会:小松泰喜(日本大学スポーツ科学部)

[KS1129s2-2] 運動学習の神経科学的機序

野崎大地 (東京大学大学院教育学研究科 身体教育学コース)

神経情報伝達の遅延が存在する我々の身体運動の制御においては,計画した運動を適切な運動指令に変換するフィードフォワード制御器が重要な役割を担う.このフィードフォワード制御器が,経験やトレーニングによって柔軟に変化することにより,我々は多様な道具を使いこなし,また多様な環境に身体運動を適応させることができるのである.ロボットマニピュランダムを用いた心理物理学的実験により,このフィードフォワード制御器の変化過程,すなわち運動学習過程において脳神経系で何が起こっているかが徐々に明らかになってきている.本講演ではこの学習機序を,「教師あり学習」,「強化学習」などの概念にも触れながら解説する.また,この変化を適切かつ効率的に導くために,どのようなフィードバック情報や報酬を与えるか,また訓練者をどのように動機づければ良いのかについても議論する.