[O-DM-02-5] 糖尿病多発神経障害の診断における運動機能評価の有用性について
Keywords:糖尿病性神経障害, 運動機能, 評価
【はじめに,目的】
近年,糖尿病(以下DM)患者の運動機能障害の報告がされており,DMは従来の代謝疾患のみならず,運動器の障害にも位置づけられてきている。しかし,DM患者の運動機能障害の評価法についてはまだ十分な知見は得られていない状況である。我々は第34回関東甲信越ブロック理学療法学会にて,糖尿病多発神経障害(以下DP)の有無において,2ステップテストの結果に有意な低下が生じる事と,そのカットオフ値を報告した。しかし,その他の運動機能評価との関連については検討しておらず,十分な知見を得られたとは言い難い。そこで本研究では,DPの有無における2ステップテスト以外の運動機能評価の有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象はDM患者104例(男性61例,女性43例)とした。年齢は65.2±11.4歳,身長は160±9.7cm,体重は63.1±14.6kg,BMIは24.6±4.7kg/m2であった。DPの評価は,糖尿病性神経障害を考える会が考案した簡易診断基準を用い,対象者をDP有群とDP無群の2群に分類した。2ステップテストの評価は,立位にて最大2歩幅を2回実施し,最大値を採用した。2ステップ値は最大2歩幅(cm)/身長(cm)で算出した。運動機能は10m最大歩行速度,歩数,Timed Up & Go Test(以下TUG),開眼片脚立位時間,閉眼片脚立位時間を評価した。背景因子においては性別,年齢,身長,体重,BMI,糖尿病関連因子では罹患歴,HbA1c(NGSP)を調査した。
統計処理はDP有群とDP無群で年齢,身長,体重,BMI,糖尿病関連因子および各運動機能評価結果の比較には対応のないt検定を行った。また性別に対してはχ2検定を行った。さらに,DPを診断するための各運動機能評価についてROC曲線を用いて検討した。統計ソフトはSPSS16.0を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
DPの有無により2ステップ値,開眼片脚立位時間,閉眼片脚立位時間に有意な差が認められた。またAUCは2ステップ値が0.76,開眼片脚立位時間が0.65,閉眼片脚立位時間が0.75であり,2ステップ値のAUCが最も高く,カットオフ値は1.24であった。
【結論】
本研究結果から,DP患者は歩行障害が顕在化する前に,バランス機能の低下が生じる可能性が示唆され,2ステップテストや片脚立位時間などのバランス評価を早期から行う事で,将来の転倒,要介護状態の悪化が予防できると考える。
近年,糖尿病(以下DM)患者の運動機能障害の報告がされており,DMは従来の代謝疾患のみならず,運動器の障害にも位置づけられてきている。しかし,DM患者の運動機能障害の評価法についてはまだ十分な知見は得られていない状況である。我々は第34回関東甲信越ブロック理学療法学会にて,糖尿病多発神経障害(以下DP)の有無において,2ステップテストの結果に有意な低下が生じる事と,そのカットオフ値を報告した。しかし,その他の運動機能評価との関連については検討しておらず,十分な知見を得られたとは言い難い。そこで本研究では,DPの有無における2ステップテスト以外の運動機能評価の有用性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象はDM患者104例(男性61例,女性43例)とした。年齢は65.2±11.4歳,身長は160±9.7cm,体重は63.1±14.6kg,BMIは24.6±4.7kg/m2であった。DPの評価は,糖尿病性神経障害を考える会が考案した簡易診断基準を用い,対象者をDP有群とDP無群の2群に分類した。2ステップテストの評価は,立位にて最大2歩幅を2回実施し,最大値を採用した。2ステップ値は最大2歩幅(cm)/身長(cm)で算出した。運動機能は10m最大歩行速度,歩数,Timed Up & Go Test(以下TUG),開眼片脚立位時間,閉眼片脚立位時間を評価した。背景因子においては性別,年齢,身長,体重,BMI,糖尿病関連因子では罹患歴,HbA1c(NGSP)を調査した。
統計処理はDP有群とDP無群で年齢,身長,体重,BMI,糖尿病関連因子および各運動機能評価結果の比較には対応のないt検定を行った。また性別に対してはχ2検定を行った。さらに,DPを診断するための各運動機能評価についてROC曲線を用いて検討した。統計ソフトはSPSS16.0を使用し,有意水準は5%とした。
【結果】
DPの有無により2ステップ値,開眼片脚立位時間,閉眼片脚立位時間に有意な差が認められた。またAUCは2ステップ値が0.76,開眼片脚立位時間が0.65,閉眼片脚立位時間が0.75であり,2ステップ値のAUCが最も高く,カットオフ値は1.24であった。
【結論】
本研究結果から,DP患者は歩行障害が顕在化する前に,バランス機能の低下が生じる可能性が示唆され,2ステップテストや片脚立位時間などのバランス評価を早期から行う事で,将来の転倒,要介護状態の悪化が予防できると考える。