[O-ED-04-4] 実習生における支援認知とストレスとの関係性に関する調査
~指導者および他実習生からの支援認知に着目して~
Keywords:臨床実習, ストレス, 支援の認知
【はじめに】
臨床実習は実習生にとって学校生活と異なった対人関係や生活状況により,緊張や不安,混乱等によりストレスが生じ,二次的に心身機能障害を引き起こす場合がある。また特に心理的ストレスが高い者では,実習のドロップアウトに繋がることもある。
人のストレスを緩和させる因子として,周囲の人たちからの支援認知が挙げられる。これはストレス事態に直面した際,自分が周囲の人たちから支えられている,助けてもらえると認知することで,基本的な安心感を得て,ストレス対処が出来るというものである。
実習生においては,クラスメイトや教員,家族等の支援者が存在する。その中でも,実習施設においては,指導者および当人以外の実習生の存在が挙げられる。
そこで今回,指導者および他実習生からの支援認知とストレスの関係性について検討するとともに,各支援認知がどのようなストレス因子と関係しているかについて検討したため報告する。
【方法】
対象は当院で理学療法長期臨床実習実施中の実習生38名とし,実習最終週にアンケート調査を行った。
支援認知の評価は,藤田(2009)の尺度を参考に独自に作成した「他実習生からの支援認知尺度」と「指導者からの支援認知尺度」を用いた。
ストレスの評価として小林ら(2000)が作成した「青年用疲労自覚症状尺度」を用いた。なお本尺度は,集中思考困難,だるさ,意欲低下,活力低下,ねむけ,身体違和感の下位項目から構成されている。
統計学的処理は「指導者からの支援認知尺度」および「他実習生からの支援認知尺度」と,「青年用疲労自覚症状尺度」および「下位項目」についてSpearmanの相関係数を求めた。
【結果】
Spearmanの相関係数は指導者からの支援認知尺度と青年用疲労自覚尺度には高い負の相関(r=-0.71,p<0.01)を認めた。また下位項目では意欲低下(r=-0.71,p<0.01)に高い負の相関が認められた。
一方,他実習生からの支援認知尺度と青年用疲労自覚尺度には相関関係を認めなかった(r=0.09,p>0.05)。
【結論】
結果より,指導者からの支援認知が高い者ほどストレスが低い傾向にあり,また下位項目の意欲低下との関係性が強いことが示唆された。
教育分野では,指導者からの支援を感じている学生ほどストレスが低い傾向にあることが報告されており,今回の結果と概ね一致した見解を示したと考えられる。また,指導者からの支援は,実習を進めるにあたって重要な要素の一つである意欲との関係が示唆された。今後は,支援認知のされ方が実習生個々人によって異なるため,具体的にどのような支援が適しているか調査する必要がある。
一方,他実習生からの支援認知とストレスには関係性を認めないことが示唆された。先行研究においては,実習生同士が助け合うことでストレス軽減する可能性が示唆されている。そのため,今後は2:1モデルの導入等による効果を検討していきたい。
臨床実習は実習生にとって学校生活と異なった対人関係や生活状況により,緊張や不安,混乱等によりストレスが生じ,二次的に心身機能障害を引き起こす場合がある。また特に心理的ストレスが高い者では,実習のドロップアウトに繋がることもある。
人のストレスを緩和させる因子として,周囲の人たちからの支援認知が挙げられる。これはストレス事態に直面した際,自分が周囲の人たちから支えられている,助けてもらえると認知することで,基本的な安心感を得て,ストレス対処が出来るというものである。
実習生においては,クラスメイトや教員,家族等の支援者が存在する。その中でも,実習施設においては,指導者および当人以外の実習生の存在が挙げられる。
そこで今回,指導者および他実習生からの支援認知とストレスの関係性について検討するとともに,各支援認知がどのようなストレス因子と関係しているかについて検討したため報告する。
【方法】
対象は当院で理学療法長期臨床実習実施中の実習生38名とし,実習最終週にアンケート調査を行った。
支援認知の評価は,藤田(2009)の尺度を参考に独自に作成した「他実習生からの支援認知尺度」と「指導者からの支援認知尺度」を用いた。
ストレスの評価として小林ら(2000)が作成した「青年用疲労自覚症状尺度」を用いた。なお本尺度は,集中思考困難,だるさ,意欲低下,活力低下,ねむけ,身体違和感の下位項目から構成されている。
統計学的処理は「指導者からの支援認知尺度」および「他実習生からの支援認知尺度」と,「青年用疲労自覚症状尺度」および「下位項目」についてSpearmanの相関係数を求めた。
【結果】
Spearmanの相関係数は指導者からの支援認知尺度と青年用疲労自覚尺度には高い負の相関(r=-0.71,p<0.01)を認めた。また下位項目では意欲低下(r=-0.71,p<0.01)に高い負の相関が認められた。
一方,他実習生からの支援認知尺度と青年用疲労自覚尺度には相関関係を認めなかった(r=0.09,p>0.05)。
【結論】
結果より,指導者からの支援認知が高い者ほどストレスが低い傾向にあり,また下位項目の意欲低下との関係性が強いことが示唆された。
教育分野では,指導者からの支援を感じている学生ほどストレスが低い傾向にあることが報告されており,今回の結果と概ね一致した見解を示したと考えられる。また,指導者からの支援は,実習を進めるにあたって重要な要素の一つである意欲との関係が示唆された。今後は,支援認知のされ方が実習生個々人によって異なるため,具体的にどのような支援が適しているか調査する必要がある。
一方,他実習生からの支援認知とストレスには関係性を認めないことが示唆された。先行研究においては,実習生同士が助け合うことでストレス軽減する可能性が示唆されている。そのため,今後は2:1モデルの導入等による効果を検討していきたい。