[O-KS-22-6] 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者における施設内生活空間での身体活動評価と日常生活動作の自立度との関連
Keywords:脳卒中, 生活空間, 移動
【はじめに,目的】
医療機関に入院している脳卒中者の生活機能障害を加速的に改善するためには,施設内における活動の機会を確保することが重要であると考えられている。施設内生活空間での活動向上を図る際,介入の計画立案や効果判定のための評価が必要であり,施設内生活空間の身体活動に特化した簡便な質問紙評価が求められる。本研究では,医療機関における施設内生活空間での身体活動の評価指標としてfacility-based life-space assessment(Fb-LSA)を開発し,医療機関に入院中の脳卒中者におけるFb-LSAの評価の信頼性とともに,Fb-LSAと日常生活動作(ADL)の自立度との関連を検証し,施設内生活空間での身体活動に重要なADLの着眼点を明らかにすることを目的とした。
【方法】
回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中78人(平均年齢69.7歳)を対象に,Fb-LSAおよびfunctional independence measure(FIM)を調査した。Fb-LSAにおける施設内生活空間は,基点を居室のベッドとして規定し,施設内生活空間をレベル1:ベッド上,レベル2:居室内,レベル3:病棟内,レベル4:施設敷地内,レベル5:施設敷地外の5段階に設定した。実際の調査では,過去1か月間における各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度(1:1回未満/週,2:1~3回/週,3:4~6回/週,4:毎日)),自立度(1:動作介助が必要,1.5:補助具の使用または介助者の見守りが必要,2:補助具の使用および人的介助が不要)を調べ,各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度,自立度の得点を積算し,各生活空間レベルの積算値の合計をFb-LSAの代表値とした(得点範囲0-120点)。
【結果】
Fb-LSAの合計点は55.5±19.6点であり,Fb-LSAの検査-再検査信頼性を示す級内相関係数(ICC)は,ICC(1,1)=0.935,ICC(1,2)=0.966,ICC(2,1)=0.877,ICC(2,2)=0.934であった。また,Fb-LSAとFIMとのPearson相関係数を算出した結果,Fb-LSAは,FIM(r=0.709),FIM運動13項目(r=0.785),FIM認知5項目(r=0.329),FIMセルフケア6項目(r=0.748),FIM排泄2項目(r=0.622),FIM移乗3項目(r=0.793),FIM移動2項目(r=0.726)との間に中等度以上の有意な正の相関を認めた。Fb-LSAを従属変数,FIM運動13項目を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を,年齢と脳卒中発症からの期間で調整して実施した結果,FIMの移動およびトイレ動作が有意な関連項目として抽出された(標準偏回帰係数:移動0.562,トイレ0.315)。
【結論】
Fb-LSAは入院中の脳卒中者において施設内生活空間の身体活動を高い再現性をもって評価することが可能であった。施設内生活空間での身体活動に対して,施設内生活空間でのADLの実行状況が反映され,とくに移動およびトイレ動作の自立度が密接に関連したことから,施設内生活空間での身体活動の確保と増加のためには,実際の移動と施設内の日常生活において主要な移動目的となるトイレでの動作の自立度が高いことが重要であると考えられた。
医療機関に入院している脳卒中者の生活機能障害を加速的に改善するためには,施設内における活動の機会を確保することが重要であると考えられている。施設内生活空間での活動向上を図る際,介入の計画立案や効果判定のための評価が必要であり,施設内生活空間の身体活動に特化した簡便な質問紙評価が求められる。本研究では,医療機関における施設内生活空間での身体活動の評価指標としてfacility-based life-space assessment(Fb-LSA)を開発し,医療機関に入院中の脳卒中者におけるFb-LSAの評価の信頼性とともに,Fb-LSAと日常生活動作(ADL)の自立度との関連を検証し,施設内生活空間での身体活動に重要なADLの着眼点を明らかにすることを目的とした。
【方法】
回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中78人(平均年齢69.7歳)を対象に,Fb-LSAおよびfunctional independence measure(FIM)を調査した。Fb-LSAにおける施設内生活空間は,基点を居室のベッドとして規定し,施設内生活空間をレベル1:ベッド上,レベル2:居室内,レベル3:病棟内,レベル4:施設敷地内,レベル5:施設敷地外の5段階に設定した。実際の調査では,過去1か月間における各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度(1:1回未満/週,2:1~3回/週,3:4~6回/週,4:毎日)),自立度(1:動作介助が必要,1.5:補助具の使用または介助者の見守りが必要,2:補助具の使用および人的介助が不要)を調べ,各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度,自立度の得点を積算し,各生活空間レベルの積算値の合計をFb-LSAの代表値とした(得点範囲0-120点)。
【結果】
Fb-LSAの合計点は55.5±19.6点であり,Fb-LSAの検査-再検査信頼性を示す級内相関係数(ICC)は,ICC(1,1)=0.935,ICC(1,2)=0.966,ICC(2,1)=0.877,ICC(2,2)=0.934であった。また,Fb-LSAとFIMとのPearson相関係数を算出した結果,Fb-LSAは,FIM(r=0.709),FIM運動13項目(r=0.785),FIM認知5項目(r=0.329),FIMセルフケア6項目(r=0.748),FIM排泄2項目(r=0.622),FIM移乗3項目(r=0.793),FIM移動2項目(r=0.726)との間に中等度以上の有意な正の相関を認めた。Fb-LSAを従属変数,FIM運動13項目を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を,年齢と脳卒中発症からの期間で調整して実施した結果,FIMの移動およびトイレ動作が有意な関連項目として抽出された(標準偏回帰係数:移動0.562,トイレ0.315)。
【結論】
Fb-LSAは入院中の脳卒中者において施設内生活空間の身体活動を高い再現性をもって評価することが可能であった。施設内生活空間での身体活動に対して,施設内生活空間でのADLの実行状況が反映され,とくに移動およびトイレ動作の自立度が密接に関連したことから,施設内生活空間での身体活動の確保と増加のためには,実際の移動と施設内の日常生活において主要な移動目的となるトイレでの動作の自立度が高いことが重要であると考えられた。