[O-NV-03-4] 在宅パーキンソン病患者の身体機能および身体活動量の変化
介入から1年以上経過後の機能
キーワード:パーキンソン病, 在宅療養, 身体活動量
【はじめに,目的】パーキンソン病(以下,PD)患者の在宅復帰率が高いため,在宅PD患者の介入支援が重要である。我々は,在宅PD患者を対象に自主練習指導と週1回の個別運動療法による2カ月間の介入効果として,自主練習時間の増大,転倒恐怖感の改善,肩屈曲と体幹伸展角度の改善,股屈曲と膝伸展筋力の増加が得られ,Functional Reach Test(FRT)やFunctional Balance Scale(FBS),歩行速度や身体活動量に有意な変化が認められないことを報告した。今回は,2カ月間の理学療法介入から1年以上在宅療養を継続した後の再評価結果と比較検討した。
【方法】Yahr重症度II~IIIの在宅PD患者14名のうち,介入前,2カ月間の介入(介入後),介入後から1年以上経過(再評価)して測定できた9名(男性2名,女性7名)を対象とした。対象者は外来通院で投薬管理され,再評価時のYahr重症度はII~III,平均年齢73.3±7.7歳,平均罹患期間12.9±7.4年であった。なお,介入前と介入後のPD治療薬は平均3.7±1.2剤,再評価時は平均4.8±1.5剤であった。評価項目は,1週間あたりの自主練習実施頻度(練習頻度;回),1回あたりの自主練習実施時間(練習時間;分),Hillらの転倒自己効力感尺度(MFES;点)を聴取した。症状はWebsterらの重症度スコア(webster;点)を用い,左右の肩屈曲角,体幹回旋角と体幹伸展角(度),ハンドヘルドダイナモメーターによる左右の股屈曲筋力と膝伸展筋力(N),機能的自立度評価(FIM;点),至適歩行時の歩行速度(m/min)と歩行率(steps/min),Timed up and go test(TUG;sec),FRT(cm)やFBS(点)を測定した。身体活動量は,microstone社製3次元加速度計を腹部に装着,3軸合成加速度と時間積分から得られる24時間分の総力積(kgm/h)を指標とし,一元配置分散分析を用いて比較した。統計学的有意水準を5%未満とした。
【結果】対象者のうち3名のYahr重症度がIIからIIIとなっていた。一元配置分散分析の結果,MFES(F=3.90,p<0.05),webster(F=7.20,p<0.05),右肩屈曲角(F=4.51,p<0.05),体幹伸展角(F=13.82,p<0.01),股屈曲筋力(左F=5.40,p<0.05,右F=4.02,p<0.05),膝伸展筋力(左F=8.91,p<0.01,右F=5.31,p<0.05),およびFIM(F=5.33,p<0.05)に有意差を認めた。その他,歩行速度や歩行率,総力積などに有意差は認めなかった。
【結論】服薬管理下であっても,理学療法介入後から1年以上の経過において,転倒自己効力感,PDの症状,肩股屈角と体幹伸展角,下肢筋力,ADLが有意に低下すること,Yahr重症度II~IIIの対象者のようにADL自立レベルの在宅PD患者は,歩行能力や身体活動量は維持される可能性が示唆された。本研究はJSPS科研費25463558の助成を受けた。
【方法】Yahr重症度II~IIIの在宅PD患者14名のうち,介入前,2カ月間の介入(介入後),介入後から1年以上経過(再評価)して測定できた9名(男性2名,女性7名)を対象とした。対象者は外来通院で投薬管理され,再評価時のYahr重症度はII~III,平均年齢73.3±7.7歳,平均罹患期間12.9±7.4年であった。なお,介入前と介入後のPD治療薬は平均3.7±1.2剤,再評価時は平均4.8±1.5剤であった。評価項目は,1週間あたりの自主練習実施頻度(練習頻度;回),1回あたりの自主練習実施時間(練習時間;分),Hillらの転倒自己効力感尺度(MFES;点)を聴取した。症状はWebsterらの重症度スコア(webster;点)を用い,左右の肩屈曲角,体幹回旋角と体幹伸展角(度),ハンドヘルドダイナモメーターによる左右の股屈曲筋力と膝伸展筋力(N),機能的自立度評価(FIM;点),至適歩行時の歩行速度(m/min)と歩行率(steps/min),Timed up and go test(TUG;sec),FRT(cm)やFBS(点)を測定した。身体活動量は,microstone社製3次元加速度計を腹部に装着,3軸合成加速度と時間積分から得られる24時間分の総力積(kgm/h)を指標とし,一元配置分散分析を用いて比較した。統計学的有意水準を5%未満とした。
【結果】対象者のうち3名のYahr重症度がIIからIIIとなっていた。一元配置分散分析の結果,MFES(F=3.90,p<0.05),webster(F=7.20,p<0.05),右肩屈曲角(F=4.51,p<0.05),体幹伸展角(F=13.82,p<0.01),股屈曲筋力(左F=5.40,p<0.05,右F=4.02,p<0.05),膝伸展筋力(左F=8.91,p<0.01,右F=5.31,p<0.05),およびFIM(F=5.33,p<0.05)に有意差を認めた。その他,歩行速度や歩行率,総力積などに有意差は認めなかった。
【結論】服薬管理下であっても,理学療法介入後から1年以上の経過において,転倒自己効力感,PDの症状,肩股屈角と体幹伸展角,下肢筋力,ADLが有意に低下すること,Yahr重症度II~IIIの対象者のようにADL自立レベルの在宅PD患者は,歩行能力や身体活動量は維持される可能性が示唆された。本研究はJSPS科研費25463558の助成を受けた。