[O-RS-02-5] 特発性肺線維症および慢性閉塞性肺疾患における身体活動量の特性
Keywords:身体活動量, 慢性閉塞性肺疾患, 特発性肺線維症
【はじめに,目的】
慢性呼吸器疾患患者において,身体活動量は予後を規定する重要な評価指標である。特発性肺線維症(IPF)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,運動制限因子が異なると報告されており,身体活動量に関しても制限因子が異なる可能性がある。しかし,COPDにおいて身体活動量の関連因子を検討した研究は多いが,IPFを対象として検討した報告はほとんどない。本研究の目的はIPFおよびCOPDの身体活動量の関連因子を解析し,その特性を検討することとした。
【方法】
年齢をマッチさせたIPF69例(年齢69.0±7.6歳,男性58例),COPD68例(年齢:70.8±5.7歳,男性62例)を対象とした。除外基準は過去4週間以内の増悪,安定していない心疾患,運動評価および身体活動量に影響を与える疾患とした。身体活動量はライフコーダGSを用いて測定し,連続した7日間の1日当たりの平均歩数を算出した。
COPD,IPF各々の疾患において,身体活動量で四分位に区分し(第1四分位-第4四分位:Q1-Q4),各区分間で評価項目を比較した。評価項目は肺機能,HAD,BDI,安静時SpO2,6MWD,下肢筋力,呼吸筋力とした。
統計解析は評価項目の各四分位間の比較を,Tukey法を用いて解析した。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
平均歩数はCOPD患者3508±2690歩,IPF患者5274±3763歩であった。COPDおよびIPF両疾患において,DLCO,BDI,6MWDは身体活動量が高いほど,有意に高値を示した(Q1,Q2,Q3,Q4,DLCO COPD:7.8,10.7,13.2,18.3,IPF:7.2,9.0,11.9,11.9,BDI COPD:4.8,6.4,9.1,8.8,IPF:7.5,8.1,9.4,9.9,6MWD COPD:260.9,402.9,524.8,565.9,IPF:441.8,533.9,579.8,634.1)。呼吸筋力および下肢筋力はCOPD患者において身体活動量が高いほど有意に高値を示したが(Q1,Q2,Q3,Q4,PImax:58.2,69.0,84.7,94.6,PEmax:109.4,130.2,143.5,160.2,下肢筋力:59.3,74.5,98.4,103.9),IPF患者においては有意な差は認められなかった(Q1,Q2,Q3,Q4,PImax:107.0,107.4,103.1,104.0,PEmax:136.6,146.1,147.1,133.7,下肢筋力:93.6,95.8,94.8,94.5)。安静時SpO2はIPFにおいて身体活動量が高いほど高い値を示した(Q1,Q2,Q3,Q4:92.9,94.3,95.6,96.1)が,COPDにおいては有意な差は認められなかった(Q1,Q2,Q3,Q4:94.1,94.5,95.1,95.7)。
【結論】
IPF,COPDともに身体活動量はガス交換能,呼吸困難感,運動耐容能と関連していた。また,筋力および換気指標はCOPDのみ,安静時酸素化能はIPFのみ身体活動量と関連がみられた。COPDを対象とした身体活動量の研究において,下肢筋力が規定因子の1つであると報告されてきたが,IPFにおいては骨格筋の影響は受けず,酸素化能の影響を受けることが明らかとなった。それぞれの疾患特性を理解して身体活動量へのアプローチをしていく必要性が示された。
慢性呼吸器疾患患者において,身体活動量は予後を規定する重要な評価指標である。特発性肺線維症(IPF)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,運動制限因子が異なると報告されており,身体活動量に関しても制限因子が異なる可能性がある。しかし,COPDにおいて身体活動量の関連因子を検討した研究は多いが,IPFを対象として検討した報告はほとんどない。本研究の目的はIPFおよびCOPDの身体活動量の関連因子を解析し,その特性を検討することとした。
【方法】
年齢をマッチさせたIPF69例(年齢69.0±7.6歳,男性58例),COPD68例(年齢:70.8±5.7歳,男性62例)を対象とした。除外基準は過去4週間以内の増悪,安定していない心疾患,運動評価および身体活動量に影響を与える疾患とした。身体活動量はライフコーダGSを用いて測定し,連続した7日間の1日当たりの平均歩数を算出した。
COPD,IPF各々の疾患において,身体活動量で四分位に区分し(第1四分位-第4四分位:Q1-Q4),各区分間で評価項目を比較した。評価項目は肺機能,HAD,BDI,安静時SpO2,6MWD,下肢筋力,呼吸筋力とした。
統計解析は評価項目の各四分位間の比較を,Tukey法を用いて解析した。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
平均歩数はCOPD患者3508±2690歩,IPF患者5274±3763歩であった。COPDおよびIPF両疾患において,DLCO,BDI,6MWDは身体活動量が高いほど,有意に高値を示した(Q1,Q2,Q3,Q4,DLCO COPD:7.8,10.7,13.2,18.3,IPF:7.2,9.0,11.9,11.9,BDI COPD:4.8,6.4,9.1,8.8,IPF:7.5,8.1,9.4,9.9,6MWD COPD:260.9,402.9,524.8,565.9,IPF:441.8,533.9,579.8,634.1)。呼吸筋力および下肢筋力はCOPD患者において身体活動量が高いほど有意に高値を示したが(Q1,Q2,Q3,Q4,PImax:58.2,69.0,84.7,94.6,PEmax:109.4,130.2,143.5,160.2,下肢筋力:59.3,74.5,98.4,103.9),IPF患者においては有意な差は認められなかった(Q1,Q2,Q3,Q4,PImax:107.0,107.4,103.1,104.0,PEmax:136.6,146.1,147.1,133.7,下肢筋力:93.6,95.8,94.8,94.5)。安静時SpO2はIPFにおいて身体活動量が高いほど高い値を示した(Q1,Q2,Q3,Q4:92.9,94.3,95.6,96.1)が,COPDにおいては有意な差は認められなかった(Q1,Q2,Q3,Q4:94.1,94.5,95.1,95.7)。
【結論】
IPF,COPDともに身体活動量はガス交換能,呼吸困難感,運動耐容能と関連していた。また,筋力および換気指標はCOPDのみ,安静時酸素化能はIPFのみ身体活動量と関連がみられた。COPDを対象とした身体活動量の研究において,下肢筋力が規定因子の1つであると報告されてきたが,IPFにおいては骨格筋の影響は受けず,酸素化能の影響を受けることが明らかとなった。それぞれの疾患特性を理解して身体活動量へのアプローチをしていく必要性が示された。