[O-SP-04-3] 片脚着地動作の円滑さと下肢3関節との関係について
―Jerk Indexを用いて―
キーワード:片脚着地動作, Jerk Index, 動作解析
【はじめに,目的】我々は,第50回大会において片脚着地動作の円滑さと下肢3関節運動についてJerk Costを用いて報告した。Jerk Costは,運動時間や運動距離が延長すると高値を示すため,着地動作の解析では,その2点を考慮する必要があると考えた。本研究は,COG変位量から躍度を算出し,計測範囲中の躍度の二乗和を運動距離と運動時間で補正したJerk Index(JI)を採用し,JIと下肢3関節運動の関係から片脚着地動作を安全かつ効率的に遂行するための条件を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は,健常男性12名24肢とした。計測機器は,VICON MXシステム,床反力計,使用ソフトはVICON NEXUS1.8.5を用いた。マーカは,Helen Hayes Marker setをもとに35ヵ所に貼付した。運動課題は,30cm台から自由落下後の片脚着地動作とした。3回施行した中でランダムにデータを抽出し検証した。計測範囲は,片脚着地における初期接地(Initial Contact:IC)からCOG最下点までの範囲とした。解析項目は,JI(鉛直方向・前後方向),IC時の下肢3関節角度,計測範囲中の下肢3関節角度変位量,運動時間とした。計測範囲中における片脚着地動作の円滑さと矢状面上の下肢3関節運動に着目する為,対象は,算出された鉛直方向におけるJIの平均値を用いて,JI低値群:12肢,JI高値群:12肢に分類した。統計解析は,得られたデータについてシャピロウィルク検定を用いて正規性を確認したうえで,JI低値群とJI高値群間の差について,Student's t-testを用いて検証した。有意水準は5%とした。
【結果】鉛直方向のJIは,JI低値群:0.74±0.48,JI高値群:1.93±0.52で有意差を認めた。前後方向のJIは,JI低値群:0.01±0.02,JI高値群:0.04±0.07で有意差を認めなかった。矢状面における下肢3関節角度変位量は,JI低値群:股関節25.9±7.3度,膝関節44.6±6.1度,足関節41.4±8.1度,JI高値群:股関節27.1±4.3度,膝関節51.8±6.9度,足関節43.5±7.0度で膝関節のみ有意差を認めた。IC時の下肢3関節角度,計測範囲の運動時間は両群間に有意差を認めなかった。
【結論】動作を行う際にはその安全性と効率性が常に求められる。本研究では,下肢3関節の屈曲角度変位量,運動時間の値が大きい事で安全性が高いとし,JIの値が小さいほど効率性が高いと規定した。JI高値群の片脚着地動作は,膝関節のみ角度変位量が優位に大きい値を示した事から,JI高値群は,膝関節屈曲角度の増大により衝撃を緩衝することで安全性が高い片脚着地動作であったことが示唆された。さらに同動作は,JI低値群と比較し運動時間に有意な差がない事から,膝関節の急激な屈曲角度変化が強いられることとなり,片脚着地動作に伴う膝関節における制御が困難となりJIの値が大きくなったと考えられた。片脚着地動作を安全かつ効率的に行うためには,下肢3関節の屈曲角度を増大させるだけでなく協調して作用する事が必要と示唆された。
【方法】対象は,健常男性12名24肢とした。計測機器は,VICON MXシステム,床反力計,使用ソフトはVICON NEXUS1.8.5を用いた。マーカは,Helen Hayes Marker setをもとに35ヵ所に貼付した。運動課題は,30cm台から自由落下後の片脚着地動作とした。3回施行した中でランダムにデータを抽出し検証した。計測範囲は,片脚着地における初期接地(Initial Contact:IC)からCOG最下点までの範囲とした。解析項目は,JI(鉛直方向・前後方向),IC時の下肢3関節角度,計測範囲中の下肢3関節角度変位量,運動時間とした。計測範囲中における片脚着地動作の円滑さと矢状面上の下肢3関節運動に着目する為,対象は,算出された鉛直方向におけるJIの平均値を用いて,JI低値群:12肢,JI高値群:12肢に分類した。統計解析は,得られたデータについてシャピロウィルク検定を用いて正規性を確認したうえで,JI低値群とJI高値群間の差について,Student's t-testを用いて検証した。有意水準は5%とした。
【結果】鉛直方向のJIは,JI低値群:0.74±0.48,JI高値群:1.93±0.52で有意差を認めた。前後方向のJIは,JI低値群:0.01±0.02,JI高値群:0.04±0.07で有意差を認めなかった。矢状面における下肢3関節角度変位量は,JI低値群:股関節25.9±7.3度,膝関節44.6±6.1度,足関節41.4±8.1度,JI高値群:股関節27.1±4.3度,膝関節51.8±6.9度,足関節43.5±7.0度で膝関節のみ有意差を認めた。IC時の下肢3関節角度,計測範囲の運動時間は両群間に有意差を認めなかった。
【結論】動作を行う際にはその安全性と効率性が常に求められる。本研究では,下肢3関節の屈曲角度変位量,運動時間の値が大きい事で安全性が高いとし,JIの値が小さいほど効率性が高いと規定した。JI高値群の片脚着地動作は,膝関節のみ角度変位量が優位に大きい値を示した事から,JI高値群は,膝関節屈曲角度の増大により衝撃を緩衝することで安全性が高い片脚着地動作であったことが示唆された。さらに同動作は,JI低値群と比較し運動時間に有意な差がない事から,膝関節の急激な屈曲角度変化が強いられることとなり,片脚着地動作に伴う膝関節における制御が困難となりJIの値が大きくなったと考えられた。片脚着地動作を安全かつ効率的に行うためには,下肢3関節の屈曲角度を増大させるだけでなく協調して作用する事が必要と示唆された。