[O-SP-04-4] ストップ動作時の最大垂直床反力の利き脚,非利き脚の差
キーワード:前十字靭帯損傷, 垂直床反力, ストップ動作
【はじめに,目的】
前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:ACL)損傷はスポーツ活動中のストップ動作等で発生する重大外傷である。岩田ら(2015)はサイドステップカッティングのストップ期での膝関節の屈曲角度には,利き脚(ボールを蹴る脚)と非利き脚の間に差はなく,外反角度で利き脚より非利き脚が2.9°有意に大きくなることを報告した。
また,ACL損傷の受傷は利き脚よりも非利き脚で約1.4~1.6倍多いと報告されている(Urabeら2002,井原ら2005)。しかし,利き脚,非利き脚でストップ動作に違いがあるかは不明である。本研究はストップ動作を利き脚,非利き脚で行い,その際の垂直床反力の大きさに違いがあるかを検証した。
【方法】
対象は下肢に整形外科的疾患の既往のない健常成人女性6人(年齢20.6±1.2歳,身長160.5±7.1cm,体重51.0±4.1kg)とした。対象の利き脚は,全例右脚であった。課題動作はストップ動作とした。対象はスタート位置から身長の50%の距離にある床反力計(AMTI社)に向かって全力で踏み込み,片脚立位を保持した。この動作を利き脚,非利き脚でそれぞれ10回ずつ,計20回行った。解析区間は初期接地から垂直床反力が最大となった時点までとした。初期接地は垂直床反力が20Nを超えた時点とした。得られた最大垂直床反力は体重で正規化し,利き脚,非利き脚それぞれ10回の試行の平均値,初期接地から最大垂直床反力に達するまでの時間,その区間の力積を算出した。
統計学的解析にはExcel統計2010 for Windows(SSRI社)を用い,利き脚,非利き脚の差の比較を対応のあるt検定にて行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
最大垂直床反力は利き脚で18.0±1.7N/kg,非利き脚で20.6±3.1N/kgであり,非利き脚で2.6±1.4N/kg(14.4%)有意に大きかった(P<0.01)。最大値到達時間は利き脚58.6±12.1msec,非利き脚53.3±29.5msecで有意差はみられなかった。力積は利き脚8.12±5.67N/kg・sec,非利き脚7.73±11.0N/kg・secで有意差はみられなかった。
【結論】
本研究ではストップ動作時の最大値到達時間と力積には差がないにもかかわらず,最大垂直床反力が非利き脚で大きいことが示された。Shimokochiら(2013)は,ジャンプ着地時の最大垂直床反力の増大がACL損傷のリスク因子であるとしている。今回,ストップ動作で非利き脚で大きな垂直床反力を生じた理由について明確にする必要がある。本研究では垂直床反力の大きさのみに注目したが,膝関節屈曲角度ならびに外反角度の変化等を含めさらに分析・検討をすすめていきたい。
前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:ACL)損傷はスポーツ活動中のストップ動作等で発生する重大外傷である。岩田ら(2015)はサイドステップカッティングのストップ期での膝関節の屈曲角度には,利き脚(ボールを蹴る脚)と非利き脚の間に差はなく,外反角度で利き脚より非利き脚が2.9°有意に大きくなることを報告した。
また,ACL損傷の受傷は利き脚よりも非利き脚で約1.4~1.6倍多いと報告されている(Urabeら2002,井原ら2005)。しかし,利き脚,非利き脚でストップ動作に違いがあるかは不明である。本研究はストップ動作を利き脚,非利き脚で行い,その際の垂直床反力の大きさに違いがあるかを検証した。
【方法】
対象は下肢に整形外科的疾患の既往のない健常成人女性6人(年齢20.6±1.2歳,身長160.5±7.1cm,体重51.0±4.1kg)とした。対象の利き脚は,全例右脚であった。課題動作はストップ動作とした。対象はスタート位置から身長の50%の距離にある床反力計(AMTI社)に向かって全力で踏み込み,片脚立位を保持した。この動作を利き脚,非利き脚でそれぞれ10回ずつ,計20回行った。解析区間は初期接地から垂直床反力が最大となった時点までとした。初期接地は垂直床反力が20Nを超えた時点とした。得られた最大垂直床反力は体重で正規化し,利き脚,非利き脚それぞれ10回の試行の平均値,初期接地から最大垂直床反力に達するまでの時間,その区間の力積を算出した。
統計学的解析にはExcel統計2010 for Windows(SSRI社)を用い,利き脚,非利き脚の差の比較を対応のあるt検定にて行った。有意水準は5%未満とした。
【結果】
最大垂直床反力は利き脚で18.0±1.7N/kg,非利き脚で20.6±3.1N/kgであり,非利き脚で2.6±1.4N/kg(14.4%)有意に大きかった(P<0.01)。最大値到達時間は利き脚58.6±12.1msec,非利き脚53.3±29.5msecで有意差はみられなかった。力積は利き脚8.12±5.67N/kg・sec,非利き脚7.73±11.0N/kg・secで有意差はみられなかった。
【結論】
本研究ではストップ動作時の最大値到達時間と力積には差がないにもかかわらず,最大垂直床反力が非利き脚で大きいことが示された。Shimokochiら(2013)は,ジャンプ着地時の最大垂直床反力の増大がACL損傷のリスク因子であるとしている。今回,ストップ動作で非利き脚で大きな垂直床反力を生じた理由について明確にする必要がある。本研究では垂直床反力の大きさのみに注目したが,膝関節屈曲角度ならびに外反角度の変化等を含めさらに分析・検討をすすめていきたい。