[O-TK-04-2] 当院回復期リハビリテーション病棟における退院前訪問指導の現状と課題
Keywords:退院前訪問指導, 身体機能, 入棟日数
【はじめに,目的】
退院前訪問指導(訪問指導)とは,自宅退院する患者および介護する家族に対して,家屋構造・病状・周辺環境を考慮し今後の在宅生活が安全かつ円滑におくれるよう,訪問指導することとされている。当院では退院前訪問指導の要否の検討において基準は設けておらず,多職種,患者及びその家族で構成されるカンファレンスでの意見と経験則により実施の決定を行っているのが実情である。そこで今回これまでの退院前訪問指導の傾向を調査し,比較・検討を行うことにより訪問指導の現状及び課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2013年10月~2014年9月までに当院回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)にて自宅退院が可能であった120例(74±14.7歳,男性38%)を対象とした。そのうち訪問指導を実施した20例を実施群,訪問指導を実施しなかった100例を非実施群に分け,年齢・性別・疾患(運動器または脳血管)・認知症の有無・入棟日数・同居家族の有無・発症前歩行能力・退院時歩行能力・退院時トイレ動作能力について2群間比較を行った。なお歩行並びにトイレ動作能力においては,FIMに準じ自立または非自立で分類した。また実施群で,訪問時期と入棟日数及び年齢において相関分析を行った。
【結果】
2群間比較で,年齢(実施群79±7.1歳vs非実施群73±15.8歳),入棟日数(実施群104±30.5日vs非実施群73±15.8日)において実施群が有意に高値を示した(p<0.05)。またそれぞれ非自立の割合がトイレ動作(実施群40%vs非実施群13%),退院時歩行能力(実施群70%vs非実施群24%)において有意差を認めた(p<0.01)。相関分析の結果,訪問時期と入棟日数に有意な正の相関を認めた(r=0.47,p<0.05)。
【結論】
結果より実施群は非実施群と比較し,歩行およびトイレ動作の自立度割合が有意に低く,入棟日数が延長していたことが分かった。また訪問指導の時期が遅くなるに伴い入棟日数が延びる傾向にあることが示唆された。これらの要因としては,一般的に歩行やトイレ動作の非自立は自宅退院を困難にする要因であると考えられ,今回は,より困難な症例に対し訪問指導を実施していたのではないかと推察された。加えて実施群は有意に高齢であったこともその要因の一つになったと考えられた。現在,超高齢者社会の進展・医療費の増加の中で,在宅復帰率の向上及び在院日数短縮が回復期病棟における主要な目標の一つとされている。当院回復期病棟もこれらの目標に向け,高齢かつトイレ動作・歩行動作が自立していない症例においては,早期からの訪問指導の要否並びに時期の検討を積極的に導入し,在院日数の短縮に繋げていくことが課題と考えられた。
退院前訪問指導(訪問指導)とは,自宅退院する患者および介護する家族に対して,家屋構造・病状・周辺環境を考慮し今後の在宅生活が安全かつ円滑におくれるよう,訪問指導することとされている。当院では退院前訪問指導の要否の検討において基準は設けておらず,多職種,患者及びその家族で構成されるカンファレンスでの意見と経験則により実施の決定を行っているのが実情である。そこで今回これまでの退院前訪問指導の傾向を調査し,比較・検討を行うことにより訪問指導の現状及び課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】
2013年10月~2014年9月までに当院回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)にて自宅退院が可能であった120例(74±14.7歳,男性38%)を対象とした。そのうち訪問指導を実施した20例を実施群,訪問指導を実施しなかった100例を非実施群に分け,年齢・性別・疾患(運動器または脳血管)・認知症の有無・入棟日数・同居家族の有無・発症前歩行能力・退院時歩行能力・退院時トイレ動作能力について2群間比較を行った。なお歩行並びにトイレ動作能力においては,FIMに準じ自立または非自立で分類した。また実施群で,訪問時期と入棟日数及び年齢において相関分析を行った。
【結果】
2群間比較で,年齢(実施群79±7.1歳vs非実施群73±15.8歳),入棟日数(実施群104±30.5日vs非実施群73±15.8日)において実施群が有意に高値を示した(p<0.05)。またそれぞれ非自立の割合がトイレ動作(実施群40%vs非実施群13%),退院時歩行能力(実施群70%vs非実施群24%)において有意差を認めた(p<0.01)。相関分析の結果,訪問時期と入棟日数に有意な正の相関を認めた(r=0.47,p<0.05)。
【結論】
結果より実施群は非実施群と比較し,歩行およびトイレ動作の自立度割合が有意に低く,入棟日数が延長していたことが分かった。また訪問指導の時期が遅くなるに伴い入棟日数が延びる傾向にあることが示唆された。これらの要因としては,一般的に歩行やトイレ動作の非自立は自宅退院を困難にする要因であると考えられ,今回は,より困難な症例に対し訪問指導を実施していたのではないかと推察された。加えて実施群は有意に高齢であったこともその要因の一つになったと考えられた。現在,超高齢者社会の進展・医療費の増加の中で,在宅復帰率の向上及び在院日数短縮が回復期病棟における主要な目標の一つとされている。当院回復期病棟もこれらの目標に向け,高齢かつトイレ動作・歩行動作が自立していない症例においては,早期からの訪問指導の要否並びに時期の検討を積極的に導入し,在院日数の短縮に繋げていくことが課題と考えられた。