[O-TK-05-2] 訪問リハビリテーション従事者に対するアセスメント能力の向上を目的とした介入の効果
キーワード:訪問リハビリテーション, アセスメント, 介入効果
【はじめに,目的】
我々は,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)従事者が利用者の病状変化に気づくためには,呼吸器疾患の経験やバイタルサイン,視診,呼吸音聴診などの 基本的生命活動所見のアセスメント(以下,AS)実施が重要であることを報告した(平野ら,2014)。しかし,これらのAS能力の向上が,臨床における利用者の病状変化の気づきに与える影響については明らかではなかった。本研究の目的は,AS能力の向上を目的とした介入を行い,その介入効果について検証することである。
【方法】
方法は,訪問リハ従事者35名を対象にAS能力の向上を目的とした介入を実施し,短期および長期効果について検討した。介入は内部障害疾患の病状変化の徴候や判断基準などの状態把握と,先に示した基本的生命活動所見のASの知識や技術について,講義および実技などを実施した。介入効果の指標には,ASの知識に関する筆記テスト(以下,WT),および呼吸音,心音の聴診リスニングテスト(以下,RT),ASの選択や実施,緊急判断について回答者個人が自覚する自信の程度などに関する主観的なAS評価Visual Analogue Scale(以下,AVAS),利用者の病状変化の気づきやASの実施に関する質問紙を用い,介入前(以下,PRE),介入直後(以下,PO1),介入後6ヵ月(以下,PO2)の時期に評価を実施した。短期効果は,PREとPO1におけるWTおよびRTの得点,AVASの長さについて比較した。長期効果はPREとPO2におけるAVASの長さ,利用者の病状変化の気付き経験の有無および,気づきの回数について比較した。統計手法はMcNemar検定,Wilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】
短期効果について,WTおよびRTでは,いずれもPO1の得点がPREのそれと比較して有意に高かった〔PRE/PO1(点),WT:4/6,RT:6/8〕。また,AVASでは,いずれもPO1の長さがPREのそれと比較して有意に長かった〔PRE/PO1(mm),AVAS1:37/53,AVAS2:34/48,AVAS3:33/50,AVAS4:32/50,AVAS5:30/48,AVAS6:32/48,AVAS7:28/46,AVAS8:25/40〕。長期効果について,利用者の病状変化の気づき経験はPO2の気づき経験および気づき回数がPREのそれと比較して有意に増加した〔PRE/PO2,気づきあり(名):12/21,気づき回数(回):0/2)。さらに,気づき経験のあった者すべてが医師や看護師に報告し,必要に応じて外来受診や往診などの対応がなされていた。
【結論】
内部障害系の状態把握および基本的生命活動所見のASの向上を目的とした介入は,短期効果のみならず,長期効果を示し,訪問リハの臨床における利用者の病状変化の気づきに影響を及ぼすことが明らかとなった。
我々は,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)従事者が利用者の病状変化に気づくためには,呼吸器疾患の経験やバイタルサイン,視診,呼吸音聴診などの 基本的生命活動所見のアセスメント(以下,AS)実施が重要であることを報告した(平野ら,2014)。しかし,これらのAS能力の向上が,臨床における利用者の病状変化の気づきに与える影響については明らかではなかった。本研究の目的は,AS能力の向上を目的とした介入を行い,その介入効果について検証することである。
【方法】
方法は,訪問リハ従事者35名を対象にAS能力の向上を目的とした介入を実施し,短期および長期効果について検討した。介入は内部障害疾患の病状変化の徴候や判断基準などの状態把握と,先に示した基本的生命活動所見のASの知識や技術について,講義および実技などを実施した。介入効果の指標には,ASの知識に関する筆記テスト(以下,WT),および呼吸音,心音の聴診リスニングテスト(以下,RT),ASの選択や実施,緊急判断について回答者個人が自覚する自信の程度などに関する主観的なAS評価Visual Analogue Scale(以下,AVAS),利用者の病状変化の気づきやASの実施に関する質問紙を用い,介入前(以下,PRE),介入直後(以下,PO1),介入後6ヵ月(以下,PO2)の時期に評価を実施した。短期効果は,PREとPO1におけるWTおよびRTの得点,AVASの長さについて比較した。長期効果はPREとPO2におけるAVASの長さ,利用者の病状変化の気付き経験の有無および,気づきの回数について比較した。統計手法はMcNemar検定,Wilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】
短期効果について,WTおよびRTでは,いずれもPO1の得点がPREのそれと比較して有意に高かった〔PRE/PO1(点),WT:4/6,RT:6/8〕。また,AVASでは,いずれもPO1の長さがPREのそれと比較して有意に長かった〔PRE/PO1(mm),AVAS1:37/53,AVAS2:34/48,AVAS3:33/50,AVAS4:32/50,AVAS5:30/48,AVAS6:32/48,AVAS7:28/46,AVAS8:25/40〕。長期効果について,利用者の病状変化の気づき経験はPO2の気づき経験および気づき回数がPREのそれと比較して有意に増加した〔PRE/PO2,気づきあり(名):12/21,気づき回数(回):0/2)。さらに,気づき経験のあった者すべてが医師や看護師に報告し,必要に応じて外来受診や往診などの対応がなされていた。
【結論】
内部障害系の状態把握および基本的生命活動所見のASの向上を目的とした介入は,短期効果のみならず,長期効果を示し,訪問リハの臨床における利用者の病状変化の気づきに影響を及ぼすことが明らかとなった。