[O-TK-05-3] 訪問リハビリテーション利用者の屋内生活空間における身体活動が在宅生活継続に及ぼす影響
キーワード:訪問リハビリテーション, 生活空間, 身体活動
【はじめに,目的】
生活機能低下に伴って活動範囲が屋内生活空間に限られやすい在宅要支援・要介護者では,自宅屋外だけでなく自宅屋内における生活空間での身体活動低下が虚弱の進行を助長し,寝たきりや死亡といった転帰の不良を招く危険を有している可能性がある。しかし,屋内生活空間における身体活動が在宅生活の転帰に及ぼす影響については明らかとなっていない。本研究の目的は,生活機能が低下した在宅高齢者を対象に,屋内生活空間における身体活動と在宅生活継続との関連について検証することとした。
【方法】
対象は,訪問リハビリテーション(訪問リハ)を利用する在宅の要支援・要介護者38人(平均年齢78.7±8.4歳)であり,60歳未満の者,神経難病罹患者およびがん進行により状態が悪化した者は除外した。主な調査項目として,年齢,性別,屋内生活空間における身体活動(home-based life-space assessment:Hb-LSA),屋外生活空間における身体活動(life-space assessment:LSA),基本動作能力(bedside mobility scale),日常生活動作能力(functional independence measure:FIM)およびFIM下位項目得点(運動FIM,認知FIM),認知機能(mental status questionnaire),筋力(握力,30 seconds chair stand)を調べた。また,調査期間中の訪問生活継続の有無と終了理由について調査し,2年以内に死亡や入院などを理由に在宅生活を終了した群と継続した群の2群に対象者を分けて初回調査時の各調査項目を比較した。また,在宅生活継続の可否に関連する要因を明らかとするため,在宅生活継続の有無を従属変数,群間比較で有意差が認められた調査項目を独立変数,年齢およびFIMを調整変数としたロジスティック回帰分析を実施した。
【結果】
全対象者のうち11名が調査期間中に在宅生活を終了した(死亡(4人:感染症1人,内臓器機能低下3人),入院(7人:肺炎4人,大腿骨頚部骨折2人,脳梗塞1人))。継続群(27人)と終了群(11人)で各調査項目を比較した結果,Hb-LSA(継続群56.3±21.0点,終了群38.1±25.0点),LSA(継続群19.3±8.4点,終了群12.0±10.5点)において有意差が認められた。その他の調査項目では,有意な群間差は認められなかった。また,ロジスティック回帰分析を行った結果,在宅生活継続の有無に対してHb-LSA(オッズ比=0.912,95%信頼区間=0.848-0.980,p=0.013)が有意な関連要因として抽出された。
【結論】
訪問リハ利用者で,在宅生活を2年間継続していた群では在宅生活を終了した群と比べ,有意に屋内外生活空間における身体活動が高く,初回調査時の屋内生活空間における身体活動が在宅生活の継続に影響を及ぼす要因となる可能性があることが示唆された。虚弱や病態の進行や新たな疾患の罹患を防ぐためにも,屋内生活空間における身体活動を十分に確保し向上することが重要であると考えられた。
生活機能低下に伴って活動範囲が屋内生活空間に限られやすい在宅要支援・要介護者では,自宅屋外だけでなく自宅屋内における生活空間での身体活動低下が虚弱の進行を助長し,寝たきりや死亡といった転帰の不良を招く危険を有している可能性がある。しかし,屋内生活空間における身体活動が在宅生活の転帰に及ぼす影響については明らかとなっていない。本研究の目的は,生活機能が低下した在宅高齢者を対象に,屋内生活空間における身体活動と在宅生活継続との関連について検証することとした。
【方法】
対象は,訪問リハビリテーション(訪問リハ)を利用する在宅の要支援・要介護者38人(平均年齢78.7±8.4歳)であり,60歳未満の者,神経難病罹患者およびがん進行により状態が悪化した者は除外した。主な調査項目として,年齢,性別,屋内生活空間における身体活動(home-based life-space assessment:Hb-LSA),屋外生活空間における身体活動(life-space assessment:LSA),基本動作能力(bedside mobility scale),日常生活動作能力(functional independence measure:FIM)およびFIM下位項目得点(運動FIM,認知FIM),認知機能(mental status questionnaire),筋力(握力,30 seconds chair stand)を調べた。また,調査期間中の訪問生活継続の有無と終了理由について調査し,2年以内に死亡や入院などを理由に在宅生活を終了した群と継続した群の2群に対象者を分けて初回調査時の各調査項目を比較した。また,在宅生活継続の可否に関連する要因を明らかとするため,在宅生活継続の有無を従属変数,群間比較で有意差が認められた調査項目を独立変数,年齢およびFIMを調整変数としたロジスティック回帰分析を実施した。
【結果】
全対象者のうち11名が調査期間中に在宅生活を終了した(死亡(4人:感染症1人,内臓器機能低下3人),入院(7人:肺炎4人,大腿骨頚部骨折2人,脳梗塞1人))。継続群(27人)と終了群(11人)で各調査項目を比較した結果,Hb-LSA(継続群56.3±21.0点,終了群38.1±25.0点),LSA(継続群19.3±8.4点,終了群12.0±10.5点)において有意差が認められた。その他の調査項目では,有意な群間差は認められなかった。また,ロジスティック回帰分析を行った結果,在宅生活継続の有無に対してHb-LSA(オッズ比=0.912,95%信頼区間=0.848-0.980,p=0.013)が有意な関連要因として抽出された。
【結論】
訪問リハ利用者で,在宅生活を2年間継続していた群では在宅生活を終了した群と比べ,有意に屋内外生活空間における身体活動が高く,初回調査時の屋内生活空間における身体活動が在宅生活の継続に影響を及ぼす要因となる可能性があることが示唆された。虚弱や病態の進行や新たな疾患の罹患を防ぐためにも,屋内生活空間における身体活動を十分に確保し向上することが重要であると考えられた。