[O-TK-05-6] 介護保険事業所におけるがん患者の利用状況調査報告
~滋賀県におけるリハビリテーションに係る事業所を中心に~
キーワード:介護保険, がん, リハビリテーション
【はじめに,目的】
介護保険制度においてリハビリテーション(以下,リハ)を提供する県内の事業所を対象に,がん患者の利用状況や実施されているリハの内容,また事業所ががん患者を受け入れるうえでの課題等を把握することを目的に調査を実施したので考察を加え報告する。
【方法】
滋賀県内の通所リハおよび訪問リハ事業所,また,リハ専門職が在籍する訪問看護事業所で,平成27年8月現在に営業している120事業所を対象とした。
調査方法は,対象事業所に対し調査票を郵送し,回答とFAXによる返送を依頼した。内容は,職種別職員数(常勤換算),がん患者の有無,患者数,年代別患者数,事業所の利用頻度,がんの罹患部位,利用する対象となった主疾患,事業所の利用目的,提供しているリハの内容,また医療機関におけるリハの受療経験のある患者数,カンファレンスや情報連絡票での連携状況,医療機関から引き継ぐうえで重要となる情報,リハを提供する上での課題について調査した。調査対象期間は,平成27年6月から7月末の2カ月間とした。
【結果】
73事業所から回答を得た。事業種別では,通所リハが32事業所(43.8%),訪問リハが27事業所(37.0%),訪問看護が14事業所(19.2%)であった。リハ専門職の従事状況は,186.8人(平均2.56人)のリハ専門職が従事しており,理学療法士が最も多く130.9人(平均1.79人)で7割を占めた。
調査期間中のがん患者の利用について,46事業所(63.0%)で106名の利用があった。また利用者の7割が75歳以上の後期高齢者であった。約半数が身体や生活機能の維持を目的に,週に2~3回の利用をされていた。リハの内容は,半数以上の事業所で機能および動作能力の獲得に向けたプログラムが提供されていた。
利用者の半数が医療機関でのリハを受療されていたが,情報連絡票での連携については34.9%,地域カンファレンスは,2割に満たない実施状況であった。介護保険事業所においてリハを提供する上で重要となる情報は,がんの告知や予後説明の有無またその内容とする回答が33事業所(45.2%)で最も多く,課題については,医療などの多職種との連携による情報共有をあげる事業所が12事業所(16.4%)で最多であった。
【結論】
2カ月という調査期間においても,リハを提供する介護保険事業所の約6割において100名を超えるがん患者の利用があった。しかし,医療機関との間で密な情報連携がされているとは言い難い状況にあり,医療との情報共有が課題として上げられた。
リハの対象となるがん患者の増加に伴い,介護保険事業所においても,がん患者を対象にした生活期リハの役割に加え,今後,回復過程のリハの役割を一部担わなければならない状況に変わってくることも考えられる。
理学療法を含め,より効果的なリハを提供するうえで,如何に予後やリスクなどの情報共有を行うかが今後の課題であると考える。
介護保険制度においてリハビリテーション(以下,リハ)を提供する県内の事業所を対象に,がん患者の利用状況や実施されているリハの内容,また事業所ががん患者を受け入れるうえでの課題等を把握することを目的に調査を実施したので考察を加え報告する。
【方法】
滋賀県内の通所リハおよび訪問リハ事業所,また,リハ専門職が在籍する訪問看護事業所で,平成27年8月現在に営業している120事業所を対象とした。
調査方法は,対象事業所に対し調査票を郵送し,回答とFAXによる返送を依頼した。内容は,職種別職員数(常勤換算),がん患者の有無,患者数,年代別患者数,事業所の利用頻度,がんの罹患部位,利用する対象となった主疾患,事業所の利用目的,提供しているリハの内容,また医療機関におけるリハの受療経験のある患者数,カンファレンスや情報連絡票での連携状況,医療機関から引き継ぐうえで重要となる情報,リハを提供する上での課題について調査した。調査対象期間は,平成27年6月から7月末の2カ月間とした。
【結果】
73事業所から回答を得た。事業種別では,通所リハが32事業所(43.8%),訪問リハが27事業所(37.0%),訪問看護が14事業所(19.2%)であった。リハ専門職の従事状況は,186.8人(平均2.56人)のリハ専門職が従事しており,理学療法士が最も多く130.9人(平均1.79人)で7割を占めた。
調査期間中のがん患者の利用について,46事業所(63.0%)で106名の利用があった。また利用者の7割が75歳以上の後期高齢者であった。約半数が身体や生活機能の維持を目的に,週に2~3回の利用をされていた。リハの内容は,半数以上の事業所で機能および動作能力の獲得に向けたプログラムが提供されていた。
利用者の半数が医療機関でのリハを受療されていたが,情報連絡票での連携については34.9%,地域カンファレンスは,2割に満たない実施状況であった。介護保険事業所においてリハを提供する上で重要となる情報は,がんの告知や予後説明の有無またその内容とする回答が33事業所(45.2%)で最も多く,課題については,医療などの多職種との連携による情報共有をあげる事業所が12事業所(16.4%)で最多であった。
【結論】
2カ月という調査期間においても,リハを提供する介護保険事業所の約6割において100名を超えるがん患者の利用があった。しかし,医療機関との間で密な情報連携がされているとは言い難い状況にあり,医療との情報共有が課題として上げられた。
リハの対象となるがん患者の増加に伴い,介護保険事業所においても,がん患者を対象にした生活期リハの役割に加え,今後,回復過程のリハの役割を一部担わなければならない状況に変わってくることも考えられる。
理学療法を含め,より効果的なリハを提供するうえで,如何に予後やリスクなどの情報共有を行うかが今後の課題であると考える。