[O-TK-06-1] 地域包括ケア病棟における在宅復帰率向上にむけた専従理学療法士の役割
Keywords:地域包括ケア病棟, 在宅介護スコア, 専従理学療法士
【はじめに,目的】当院では2015年より急性期病棟の一部を転換し,地域包括ケア病棟を開設している。この地域包括ケア病棟の主な役割は急性期病棟からの受け入れや在宅復帰支援であり,当院でも在宅復帰率向上を目標に退院支援を実施している。しかし当市の高齢化率は26.6%と愛知県下でも高齢化の進んでいる地域であり,慢性疾患を多く抱え日常生活動作能力が低下していることや老老介護,高齢単身世帯のため在宅復帰困難例も少なくない。そこで今回,在宅復帰率向上を目標に,厚生労働省長寿科学研究事業所が開発した在宅介護スコア(Home Care Score:以下HCSとする)を導入し在宅復帰困難例について問題点の明確化,専従理学療法士としての役割を考察する。
【方法】平成27年4月1日から平成9月30日の期間中に自宅からの入院となった患者181名(男性69名・女性112名)を対象とした。帰結先から自宅退院患者(以下,在宅群)と施設もしくは療養型病院への退院となった患者(以下,施設群)に分類し,地域包括ケア病棟転棟直後と退院時のHCSを評価した。HCSは在宅生活のための介護能力に関する要因7項目10点と介護負担に関する要因9項目11点の計21点からなる評価法で,11点未満をカットオフとして在宅復帰困難の可能性が高いとしている。調査項目はHCSによる評価の他,年齢,性別,主要疾患,帰結先,要介護度,再入院の有無を確認した。
【結果】対象患者の平均年齢は79.8歳,在宅群は181名中141名で自宅復帰率は78%となった。在宅群で転棟直後のHCSがカットオフの11点未満であった患者は18名で,そのうち退院までに改善した項目が介護負担に関する要因であった患者は13名と7割以上を占めた。一方施設群では,転棟直後から退院までの点数の変化において異常行動,介護者の介護意欲の項目で減点が多くみられ,特に退院時の項目別平均では介護者の介護意欲4点中1.05点,患者の闘病意欲2点中0.6点と低値が目立った。
【結論】本調査の結果から当院地域包括ケア病棟における在宅群は,日常生活動作能力を中心とする介護負担に関する要因の改善により,在宅復帰率向上がみられた。これは地域包括ケア病棟に転棟直後,病棟ケアによる日常生活動作訓練などセラピストによる個別訓練以外の訓練量の増加により,患者の自立度が高まったことが要因の一つと考えられる。一方で施設群ではHCSは全ての項目で低値が多くみられた。中でも患者の闘病意欲と介護者の介護意欲に減点が多くみられた。在宅生活にむけた社会資源の活用などを多職種会議で話し合い,患者や介護者の不安を軽減するための在宅生活のイメージ作りが必要と考えられる。地域ケア会議にも参画し情報交換することで,地域課題を発見,新たな社会資源開発を推進することが求められる。今後は社会資源の拡充による患者や介護者の不安感や負担の軽減について追跡調査が必要と考える。
【方法】平成27年4月1日から平成9月30日の期間中に自宅からの入院となった患者181名(男性69名・女性112名)を対象とした。帰結先から自宅退院患者(以下,在宅群)と施設もしくは療養型病院への退院となった患者(以下,施設群)に分類し,地域包括ケア病棟転棟直後と退院時のHCSを評価した。HCSは在宅生活のための介護能力に関する要因7項目10点と介護負担に関する要因9項目11点の計21点からなる評価法で,11点未満をカットオフとして在宅復帰困難の可能性が高いとしている。調査項目はHCSによる評価の他,年齢,性別,主要疾患,帰結先,要介護度,再入院の有無を確認した。
【結果】対象患者の平均年齢は79.8歳,在宅群は181名中141名で自宅復帰率は78%となった。在宅群で転棟直後のHCSがカットオフの11点未満であった患者は18名で,そのうち退院までに改善した項目が介護負担に関する要因であった患者は13名と7割以上を占めた。一方施設群では,転棟直後から退院までの点数の変化において異常行動,介護者の介護意欲の項目で減点が多くみられ,特に退院時の項目別平均では介護者の介護意欲4点中1.05点,患者の闘病意欲2点中0.6点と低値が目立った。
【結論】本調査の結果から当院地域包括ケア病棟における在宅群は,日常生活動作能力を中心とする介護負担に関する要因の改善により,在宅復帰率向上がみられた。これは地域包括ケア病棟に転棟直後,病棟ケアによる日常生活動作訓練などセラピストによる個別訓練以外の訓練量の増加により,患者の自立度が高まったことが要因の一つと考えられる。一方で施設群ではHCSは全ての項目で低値が多くみられた。中でも患者の闘病意欲と介護者の介護意欲に減点が多くみられた。在宅生活にむけた社会資源の活用などを多職種会議で話し合い,患者や介護者の不安を軽減するための在宅生活のイメージ作りが必要と考えられる。地域ケア会議にも参画し情報交換することで,地域課題を発見,新たな社会資源開発を推進することが求められる。今後は社会資源の拡充による患者や介護者の不安感や負担の軽減について追跡調査が必要と考える。