[O-TK-06-2] 当院における独居での退院を達成した脳血管障害を有する患者の要因
―機能的自立度評価法を用いた後方視的研究―
Keywords:機能的自立度評価法, 脳卒中, 独居
【はじめに,目的】
第49回日本理学療法学術大会において,脳血管疾患を有する発症前が独居である患者の自宅退院に及ぼす影響について,機能的自立度評価法(以下,FIM)より検討した。調査より,運動項目では車いす・ベッド・椅子移乗の項目が,認知項目では交流が自宅退院に影響することを報告した。澤村らは,独居を可能とする要因について,年齢,FIM運動項目合計,FIM記憶が因子として抽出されたと述べている。今回,判別分析を用いた自宅退院の影響の程度を明らかにすることとした。
【方法】
データベースソフトによる管理が開始された2007年4月1日から2015年9月30日までに入退院した患者1392例(2015年3月31日まで時点)のうち,脳血管疾患の診断を受けた950例で,発症前が独居である患者について後方視的調査を行った。除外基準は発症前が施設であった例,急性期病院へ転院,療養,死亡,入院1週間未満の症例とした。調査項目については,年齢,性別,退院時FIMの総得点,運動項目合計点,認知項目合計点,FIMの各項目を集計した。統計は,性別はχ2検定,在院日数は対応のないt検定,FIMについてはMann-Whitney検定を行い,2群間の差を検討した。自宅退院に影響する要因を検討する上で,自宅退院の可否に対して,年齢,性別,FIM6項目(移乗車椅子・ベッド・椅子(以下,移乗),移動,交流,運動FIM,認知FIM,FIM総得点)の8項目が影響するかを知るために,判別分析を適用した。選択された項目から判別的中率を求めた。統計処理にはIBM SPSS Statistics 21.0を使用し,各検定ともに有意水準を5%未満とした。
【結果】
発症前が独居である患者は122例であった。転帰先について,自宅群67例(独居が46例,家族と同居が21例),非自宅群55例(その他施設が24例,老健が28例)であった。自宅群と非自宅群の2変量解析では,FIM総得点,運動項目合計点,認知項目合計点,FIM各項目のすべての項目について有意差を認めた。正準相関は0.752,wilksのラムダは0.454で有意であった。標準化された正準判別関数係数は運動FIMで1.007,交流で0.469,性別で0.389であった。
【結論】
運動FIMが高く,交流が高い程自宅退院となる可能性が高いことがわかった。独居脳卒中患者において,自宅退院に影響するFIMの小項目について傾向を示し,心理的,社会的な要因を含めて検討していく必要があることが本調査から見出された意義である。FIMの小項目において傾向を示すことができたことで,自宅退院に影響するより重要な評価内容について示唆を与えることができたと考える。
第49回日本理学療法学術大会において,脳血管疾患を有する発症前が独居である患者の自宅退院に及ぼす影響について,機能的自立度評価法(以下,FIM)より検討した。調査より,運動項目では車いす・ベッド・椅子移乗の項目が,認知項目では交流が自宅退院に影響することを報告した。澤村らは,独居を可能とする要因について,年齢,FIM運動項目合計,FIM記憶が因子として抽出されたと述べている。今回,判別分析を用いた自宅退院の影響の程度を明らかにすることとした。
【方法】
データベースソフトによる管理が開始された2007年4月1日から2015年9月30日までに入退院した患者1392例(2015年3月31日まで時点)のうち,脳血管疾患の診断を受けた950例で,発症前が独居である患者について後方視的調査を行った。除外基準は発症前が施設であった例,急性期病院へ転院,療養,死亡,入院1週間未満の症例とした。調査項目については,年齢,性別,退院時FIMの総得点,運動項目合計点,認知項目合計点,FIMの各項目を集計した。統計は,性別はχ2検定,在院日数は対応のないt検定,FIMについてはMann-Whitney検定を行い,2群間の差を検討した。自宅退院に影響する要因を検討する上で,自宅退院の可否に対して,年齢,性別,FIM6項目(移乗車椅子・ベッド・椅子(以下,移乗),移動,交流,運動FIM,認知FIM,FIM総得点)の8項目が影響するかを知るために,判別分析を適用した。選択された項目から判別的中率を求めた。統計処理にはIBM SPSS Statistics 21.0を使用し,各検定ともに有意水準を5%未満とした。
【結果】
発症前が独居である患者は122例であった。転帰先について,自宅群67例(独居が46例,家族と同居が21例),非自宅群55例(その他施設が24例,老健が28例)であった。自宅群と非自宅群の2変量解析では,FIM総得点,運動項目合計点,認知項目合計点,FIM各項目のすべての項目について有意差を認めた。正準相関は0.752,wilksのラムダは0.454で有意であった。標準化された正準判別関数係数は運動FIMで1.007,交流で0.469,性別で0.389であった。
【結論】
運動FIMが高く,交流が高い程自宅退院となる可能性が高いことがわかった。独居脳卒中患者において,自宅退院に影響するFIMの小項目について傾向を示し,心理的,社会的な要因を含めて検討していく必要があることが本調査から見出された意義である。FIMの小項目において傾向を示すことができたことで,自宅退院に影響するより重要な評価内容について示唆を与えることができたと考える。