第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

一般演題口述

日本予防理学療法学会 一般演題口述
(予防)09

Sat. May 28, 2016 1:40 PM - 2:40 PM 第9会場 (札幌コンベンションセンター 2階 207)

座長:山田実(筑波大学大学院人間総合科学研究科)

[O-YB-09-6] 介護予防教室終了後の追跡調査

細野健太, 古川大貴, 砂田広康, 永田千晶, 田島進 (医療法人社団みのりの会田島医院)

Keywords:介護予防教室, 追跡調査, 二次予防事業対象者

【目的】

介護予防対策の一環として二次予防事業対象者に対する介護予防事業が実施され,有効性が報告されている。筆者らも二次予防事業対象者に対して3ヶ月間の介護予防教室を行い,運動器機能の向上を示した。しかし,短期的な介護予防教室において運動器機能の向上は認めるが,介護予防教室終了後の実態は不明のままで,実際に介護予防が図れているかは明らかとなっていない。短期的な調査だけでなく,介護予防教室終了後の長期的な経過を追い,介護予防の実態を把握する必要があると考えた。今回は介護予防教室終了後に介護保険に認定したかを調査することを目的としてアンケートを実施した。


【方法】

対象は介護予防教室を終了し,1年以上経過している二次予防事業対象者240名(男性68名,女性172名)とした。介護予防教室は1回120分間の運動器機能向上プログラムを週に1回の頻度で3ヶ月間実施した。身体機能評価は体幹屈曲・伸展筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,片脚立位時間を測定した。アンケート調査の項目は現在の介護保険認定の有無,介護予防教室終了後における運動習慣の有無および転倒発生の有無とした。運動習慣の有無の判定基準は日常生活以外に1週間のうち合計1時間以上運動を行っていることとし,運動の内容は規定しなかった。


【結果】

240名へのアンケート調査の結果,176名より回答を得た(有効回答率73.3%)。現在の介護保険認定群は54名(30.7%:男性17名,女性37名),非認定群は122名(69.3%:男性30名,女性92名)であった。介護予防教室終了後に運動を継続していたのは認定群28名(51.9%:男性8名,女性20名),非認定群95名(77.9%:男性20名,女性75名)であり,転倒が発生したのは認定群25名(46.3%:男性5名,女性20名),非認定群52名(42.6%:男性12名,女性40名)であった。介護予防教室終了後の体幹屈曲・伸展筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,片脚立位時間に有意差を認めた(p<0.01)。


【結論】

地域在住高齢者のADL障害の発生を追跡調査した研究では,下肢機能,身体活動,慢性疾患などが予測因子としてあげられている。本研究はADL障害の発生ではなく介護保険認定の有無で調査したが,介護予防教室終了後に体幹筋力,膝伸展筋力,10m歩行時間,片脚立位時間に有意差を認め,介護予防教室終了後にも介護保険が必要になりにくいことが示された。しかし,運動を継続していても介護保険の認定を受けた対象者もいた。木村らは活発な運動がADL障害の発生と関与していると述べており,今回のアンケート調査では運動内容は規定していなかったが,介護予防にはある程度の運動強度が求められると考える。小池らは教室の印象が以降の運動習慣に関係するとし,レクリエーションプログラムは重要な役割を担うと報告している。アンケート結果からも介護予防教室は満足度が高く,今後も運動を継続していきたいという内容で,高齢者の健康増進に寄与できるものであると考えている。