第51回日本理学療法学術大会

Presentation information

一般演題ポスター

日本糖尿病理学療法学会 一般演題ポスター
糖尿P01

Fri. May 27, 2016 11:50 AM - 12:50 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-DM-01-4] 回復期病院でのNST発足における,低栄養者に対する栄養状態とFIMに与える影響について

横野裕行, 長内祥太郎, 丸島さゆり, 神田真理子, 梅本彩, 永島匡, 野田聖也, 山田彩, 小園拓哉, 杉山ユミ, 阿部里美 (医療法人社団緑野会みどり野リハビリテーション病院)

Keywords:NST, FIM, 栄養状態

【はじめに,目的】当院は2014年度にNutrition Support Team(以下:NST)が発足した。当院NSTの特徴として入院全症例を対象とし,入院直後とその後必要な症例には継続的なフォローを行う体制をとっている。我々は当院NST運用の効果を調査し,NST発足後群が発足前群に比べ栄養指標とFIMにおいて改善がみられたことを第34回関東甲信越ブロック理学療法士学会にて発表した。その中で,疾患(脳血管・運動器)による差が生じたことや,発足後群の入院時栄養指標が低値な傾向がみられたことから,低栄養者がNST導入にて栄養状態・日常生活動作の改善に影響がより多くあるとの仮説を立て,調査することを目的とした。

【方法】2013年4月から2015年3月までの当院入院患者の中でNST発足前後に入院期間が重なる者を除外した397名(脳血管222名,運動器175名)を対象とし,2014年度入院群(以下:介入群),2013年度入院群(以下:非介入群)の2群を設定した。調査項目として,入院時・退院直近の体重,TP・Alb,運動・認知・総FIM(以下:M-,C-,T-FIM)を後方視的にカルテより抽出した。条件設定として,疾患2項目の項目毎に全対象・低栄養の条件にて各々調査を実施した。上記項目にて介入の有無と入・退院時の2条件で反復測定分散分析を行い,主効果・交互作用を認めたものは下位検定を実施した。尚,低栄養条件は入院時Alb 3.5 g/dl未満とした。有意水準はP<0.05とした。

【結果】脳血管疾患の全対象条件(介入群127名,非介入群95名)では,体重は非介入群が退院時に有意に減少した。TP・Albに有意差はみられず,FIM各項目は2群共に退院時に有意な増加を示したのみであった。一方,低栄養条件(介入群26名,非介入群16名)では,体重は介入群が退院時に有意な増加を示し,Albは入院時に介入群が有意な低値を示したが,退院時には有意差が生じなかった。しかし,FIMではM-FIMにて介入群が退院時に有意な低値を示した。運動器疾患の全対象者条件(介入群88名,非介入群87名)では,体重は介入群が退院時に有意な増加を示した。Albは介入群が退院時に有意な増加を示し,さらに入院時には有意に低値であったが,退院時に有意差が生じなかった。しかし,FIM各項目は2群共に退院時に有意な増加を示し,入・退院時共に介入群が有意に低値を示した。一方,低栄養条件(介入群36名,非介入群26名)は,体重・TP・Alb・C-FIMにて介入群が退院時に有意な増加を示し,M-,T-FIMは入院時に介入群が有意な低値を示したが,退院時に有意差はみられなかった。

【考察】脳血管と運動器疾患,全対象と低栄養条件を比較すると,疾患別では運動器疾患,対象者別では低栄養条件がより栄養状態が改善しやすい傾向がみられた。FIMに関しては運動器疾患の低栄養条件のみが良好な結果を示しており,NST導入によって運動器疾患の低栄養者がより栄養状態・日常生活動作の改善に良好な影響が与えられる可能性が考えられる。