第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P02

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-02-3] リハビリテーション医療におけるサービス品質評価尺度作成の試み

因子構造および構成概念妥当性の検証

武田知樹1,2, 尾方英二3, 石甲斐耕介4 (1.学校法人平松学園大分リハビリテーション専門学校理学療法士科, 2.大分県リハビリテーション測定評価研究会, 3.池邉整形外科リハビリテーション科, 4.大分循環器病院リハビリテーション科)

Keywords:リハビリテーション, サービス品質評価尺度, SERVQUAL

【はじめに,目的】

先進諸国では,経済・社会の成熟に伴い各産業で供給者志向から需要者志向への流れが強まりつつある。これに伴い,医療分野においても医師や看護師などが行う医療行為をサービス(Service)の一環として捉え,サービスマネージメントの観点から患者を医療サービスの消費者である顧客として位置づけた先行研究が散見されるようになっている。

今回,リハビリテーション医療を受療している患者を対象にしてサービス品質評価尺度の作成を試みたので報告する。


【方法】

調査協力の得られた医療機関に入院および外来通院する患者の内,理学療法を含むリハビリテーション医療を受療している患者85名(男性31名,女性54名,平均年齢68.8±15.7歳)を対象とした。

調査方法は質問紙法とした。調査内容については,Parasuramanら(1986)によって開発されたサービス品質の測定尺度であるSERVQUALを医療分野において適用した中村らの先行研究(2007)より27項目を抜粋した。

分析は,脳卒中サンプルで得たデータをもとに探索的因子分析および構造方程式モデリング(Structural Equation Modeling:SEM)を用いて,サービス品質評価尺度作成のための因子構造の探索と構成概念妥当性を検討した。


【結果】

1)因子構造

探索的因子分析の結果,固有値が1以上の因子は3つであり,第1因子は「治療時間」(寄与率46.9%),第2因子は「信頼感」(寄与率5.7%),第3因子は「コミュニケーション」(3.9%)とそれぞれ解釈された。

2)内的整合性

クロンバックα係数はそれぞれ第1因子「治療時間」(α=0.82),第2因子「信頼感」(α=0.77),第3因子「コミュニケーション」(α=0.85)であった。

3)SEMによるモデル適合度

探索的因子分析で得られた因子構造に基づき作成された仮説モデルは,「治療時間」,「信頼感」,「コミュニケーション」を1次因子,サービス品質を2次因子としたモデルであった。その適合度を検証した結果,χ2値=54.4,CFI=0.95,RMSEA=0.09であった。

また,「サービス品質」からのパス係数(標準化係数)は,それぞれ「治療時間」0.75,「信頼感」0.99,「コミュニケーション」0.87であった。


【結論】

探索的因子分析の結果より,「治療時間」「信頼感」「コミュニケーション」と3つの因子が確認された。

中でも,リハビリ従事者にとって治療開始時間を明確にすることや,患者にとって利用しやすい時間帯に設定すること等の「治療時間」に関連する項目はサービス品質尺度を作成する上で軽視できない重要な因子であると考えられた。