第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P02

Fri. May 27, 2016 4:30 PM - 5:30 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-ED-02-5] 制度改定が通所リハビリテーションに与えた影響の検討

奥口義, 相川雅俊 (IMS(イムス)グループ介護老人保健施設お花茶屋ロイヤルケアセンター)

Keywords:リハビリテーション会議, リハビリテーションマネジメント, 通所リハビリテーション

【はじめに,目的】

平成27年度の介護報酬改定では,在宅生活を支援するため,心身機能だけでなく活動と参加に焦点を当てたリハビリテーション(以下,リハ)の促進に向け様々な加算が新設された。特に事業所の医師,介護支援専門員,居宅サービス担当者,利用者の参加によるリハビリテーション会議(以下,リハ会議)の開催を通して,利用者に対するリハの支援方針や方法を共有するリハビリテーションマネジメント(以下,リハマネ)の強化が図られた。これまで加算として評価されていた個別リハ加算や居宅訪問が本体報酬に包括化され,リハマネにおいては新たな書式である興味関心チェックシート,アセスメント表,リハ計画書,リハ会議録,プロセス管理表が示された。制度改定から6ヶ月が経過し,通所リハに生じた影響と業務プロセスを整理するため,当施設での取り組みと今後の課題について報告する。

【方法】

対象は通所リハ利用中の99名。リハマネ関連書類については順次新書式へ移行し,リハ専門職と介護職で書類作成を分業した。リハ会議開催にあたっての関連職種との日程調整は支援相談員へ依頼し,議事進行はリハ専門職が行った。リハ会議を通して利用者が自己決定した目標を基に,従来の身体機能に偏った個別リハだけでなく,実生活動作の練習も取り入れた。可能な限り月単位で達成可能な生活に即した目標を設定し,リハ会議で利用者及び他職種で方針の共有を図り,事業所の医師から利用者へ説明を行った。また,上半期の居宅サービス収入を前年と比較した。

【結果】

利用者主体の目標を設定し共有したことで,漫然とした個別リハから多職種協働での生活を通したリハが実践できた。複雑な書類整理の時間捻出が業務時間内に困難であることや介護保険支給限度額の関係もありリハマネ加算(I)89名,リハマネ加算(II)10名であった。上半期でリハマネ加算・個別リハ加算が68%の減収,通所リハ全体で3.1%の減収となった。

【結論】

リハ会議や新書式への移行を通して生活状況の把握が標準化され,今までの縦割り業務から職種横断的な業務を経験することができ,理学療法士の卒前卒後教育の中心である個別リハ主体の医学モデルから生活モデルへ舵をきる意識改革が生じた。その一方で,リハ会議や新書式に大幅な時間を割かれ,リハマネ加算(II)の件数が伸び悩む結果となった。リハマネ加算(II)単独で収益の改善を図ろうとすると,件数の増加に比例してリハ会議の頻度が増え,同時に書類作成業務が増加し臨床業務の圧迫を招く。管理運営の側面からは,リハ関連加算取得の推進と稼働率増減に対応できる費用対効果を考慮した人員配置の整備だけでなく,リハ専門職を中心とした職種横断的アプローチや営業活動による稼働率向上などの間接的貢献も求められている。今後もリハ会議や書類作成業務が形骸化しないように,地域包括ケアシステムの構築に向かう社会とコンセプトを念頭に置いて新人教育や人材育成を進めていきたい。