[P-ED-11-2] 理学療法学科1年生の精神的健康度と大学生活不安の関連について
Keywords:大学生活不安尺度, 精神的健康度, 理学療法学科
【はじめに,目的】
近年,大学全入時代の影響もあり,精神的健康度の低い学生の存在を指摘する報告がなされている。精神的健康度は学力や学習意欲との関係があり,精神的健康度の低い学生の増加は休学や退学の増加との関連が報告されている。また,精神的健康度が低い学生は大学生活のなかでも不安を抱き易いと考えられる。
一般的な大学生を対象とした調査おいて,約31%の学生が精神的健康に問題を抱えているとされており,理学療法学科においても精神的健康に問題を抱えている学生が入学していると考えられるが,理学療法学科を対象として精神的健康度と大学生活不安についての調査は行われていない。
本研究は,理学療法学科の学生を対象に精神的健康度と大学生活不安の関係について検討することを目的とした。
【方法】
平成27年2月に理学療法学科に在籍する1年生88名とした。対象者は男性44名(年齢19.0±0.4歳),女性44名(年齢18.9±0.5歳)であった。本研究の調査時期はいずれも平成27年2月とし,集合調査法にて大学生活不安尺度(以下,CLAS)およびコーネル・メディカル・インデックス(以下,CMI)を実施した。次にCMIで得られた結果を深町の分類を用いて4群に分類した。
深町の分類は,縦軸に身体的事項のなかのC,I,J区分で「はい」と回答した数,横軸に精神的事項のM~R区分で「はい」と回答した数を判別図に記入することにより,I~IVの領域に分けることができる。領域Iは心理的正常,領域IIは心理的正常である可能性が強い,領域IIIは神経症である可能性が強い,領域IVは神経症者,とそれぞれ情緒障害を判定できる。CLASは,日常生活不安項目,評価不安項目,大学不適応の合計30項目の設問から構成され得点が高いほど不安が強い傾向となる。
統計学的解析は,CLASの下位尺度ごとに4群間(領域I~IV)の比較にはKruskal-Wallis検定を適用し差が認められた場合はMann-WhitneyのU検定を実施しBonferroniの補正を行った。統計ソフトウェアはIBM PASW Stastics18を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
日常生活不安は,領域Iと領域IIIおよびIV群間で差が認められ領域Iが低値を示し,さらに領域IIと領域IV群間で差が認められ領域IIが低値を示した。評価不安は,領域Iが領域II,III,IV群のそれぞれの群間で差を認め低値を示し,領域IIは領域IV群間で差を認め低値を示した。大学不適応は,領域Iと領域IV群間で差を認め領域Iが低値を示した。
【結論】
領域III,領域IVに該当する精神的健康に問題のある学生の割合は28%であり,一般的な大学と同様に理学療法学科にも精神的健康に問題を抱える学生が入学していることが明らかとなった。精神的健康に問題を抱える学生は,そうでない学生と比較して大学生活の中で対人関係(友人や教員)や学業について不安感を抱いていた。また,領域IVの学生は大学不適応を起こしていると考えられ早期より対策が必要である。
近年,大学全入時代の影響もあり,精神的健康度の低い学生の存在を指摘する報告がなされている。精神的健康度は学力や学習意欲との関係があり,精神的健康度の低い学生の増加は休学や退学の増加との関連が報告されている。また,精神的健康度が低い学生は大学生活のなかでも不安を抱き易いと考えられる。
一般的な大学生を対象とした調査おいて,約31%の学生が精神的健康に問題を抱えているとされており,理学療法学科においても精神的健康に問題を抱えている学生が入学していると考えられるが,理学療法学科を対象として精神的健康度と大学生活不安についての調査は行われていない。
本研究は,理学療法学科の学生を対象に精神的健康度と大学生活不安の関係について検討することを目的とした。
【方法】
平成27年2月に理学療法学科に在籍する1年生88名とした。対象者は男性44名(年齢19.0±0.4歳),女性44名(年齢18.9±0.5歳)であった。本研究の調査時期はいずれも平成27年2月とし,集合調査法にて大学生活不安尺度(以下,CLAS)およびコーネル・メディカル・インデックス(以下,CMI)を実施した。次にCMIで得られた結果を深町の分類を用いて4群に分類した。
深町の分類は,縦軸に身体的事項のなかのC,I,J区分で「はい」と回答した数,横軸に精神的事項のM~R区分で「はい」と回答した数を判別図に記入することにより,I~IVの領域に分けることができる。領域Iは心理的正常,領域IIは心理的正常である可能性が強い,領域IIIは神経症である可能性が強い,領域IVは神経症者,とそれぞれ情緒障害を判定できる。CLASは,日常生活不安項目,評価不安項目,大学不適応の合計30項目の設問から構成され得点が高いほど不安が強い傾向となる。
統計学的解析は,CLASの下位尺度ごとに4群間(領域I~IV)の比較にはKruskal-Wallis検定を適用し差が認められた場合はMann-WhitneyのU検定を実施しBonferroniの補正を行った。統計ソフトウェアはIBM PASW Stastics18を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
日常生活不安は,領域Iと領域IIIおよびIV群間で差が認められ領域Iが低値を示し,さらに領域IIと領域IV群間で差が認められ領域IIが低値を示した。評価不安は,領域Iが領域II,III,IV群のそれぞれの群間で差を認め低値を示し,領域IIは領域IV群間で差を認め低値を示した。大学不適応は,領域Iと領域IV群間で差を認め領域Iが低値を示した。
【結論】
領域III,領域IVに該当する精神的健康に問題のある学生の割合は28%であり,一般的な大学と同様に理学療法学科にも精神的健康に問題を抱える学生が入学していることが明らかとなった。精神的健康に問題を抱える学生は,そうでない学生と比較して大学生活の中で対人関係(友人や教員)や学業について不安感を抱いていた。また,領域IVの学生は大学不適応を起こしていると考えられ早期より対策が必要である。